2013年1月13日日曜日
◆ 原爆保有のための六カ所村(その1) ◆兵頭正俊さんから.
今年1月11日の、同じ有料メルマガ『兵頭正俊
の優しさ出前』(182号)で、
1 絶望的な民主党の現在
2 安倍政権の正体を現す竹中平蔵の登場
3 ふたつの不正選挙
といった3つの状況的課題を述べた。
わたしの考えでは、この3つの課題が、これから大きく
膨らんでゆき、様々な影響をわが国の政局に与えてくる
ということであった。
亡国(植民地化)という観点から切り取れば、他にも幾
つか念頭に浮かんだ課題があり、紙幅の都合で割愛した
ものがあった。そのひとつが原発の廃棄物処理場の問題
である。
さて、日本の政治状況は亡国(米国の植民地化)の完成
度を強めている。
1月7日の『朝鮮日報』が「日本が韓国の使用済み核燃
料受け入れか 日本で原発縮小の動きが広まる中、再処
理施設を維持するため韓国やベトナムなどに注目」と題
して次のように報じた。 ただしこの報道は、日本に、
放射性廃棄物の処理能力がないことを押さえたうえで読
む必要がある。
「日本政府は韓国やベトナムなど、アジア各国の原子力
発電所から排出される使用済み核燃料を、日本の青森
県・六ケ所村にある再処理工場で処理する方向で検討を
進めていることが分かった。これは東京新聞が6日付で
報じた。日本は核兵器を保有していないが、使用済み核
燃料の再処理施設は保有している。
昨年5月には当時政権与党だった民主党の細野豪志・原
発事故担当相の私的諮問機関も「廃棄物処理の期待に応
えることは、東アジアでのわが国の外交、安全保障、経
済にまたがる国際戦略基盤の強化と核不拡散、原子力の
平和利用の取り組みに貢献する」という趣旨の報告書を
すでに提出している。
東京新聞は「再処理施設の国際利用の試金石になりそう
なのが、来年期限切れを迎える米韓原子力協定の改定交
渉」とした上で「そこで浮上するのが核保有国以外で唯
一、再処理施設を持つ日本への再処理委託」と指摘し、
米国が韓半島(朝鮮半島)の安全保障を理由にその実現
を強く求めてくることも考えられると予想した。
東京新聞は「韓国は使用済み核燃料が3年後の2016年ま
でに備蓄許容量の限界に達すると予測されている」「韓
国側は再処理施設やウラン濃縮工場の建設などを要求し
ているが、米国側は北朝鮮を刺激することや『国際的な
核不拡散政策に影響を及ぼしかねない』として難色を示
し、議論が平行線をたどり続けている」などと報じた」
(引用終わり)
『東京新聞』と、この『朝鮮日報』の記事の影響は大き
く、慌てた韓国政府は、翌7日に、日本政府が韓国など
東アジアの使用済み核燃料の委託処理を構想していると
いう『東京新聞』の報道について、
1 日本政府から韓国の使用済み核燃料を委託処理した
いという提案を受けたことはなく、検討もしていないこ
と。
2 韓国の使用済み核燃料の処理を日本に委託する可能
性は高くないこと。
と声明を出した。
しかし、わたしは『東京新聞』と『朝鮮日報』の報道は
核心を突いたものであると思っている。
◆ 原爆保有のための六カ所村(その2)
現代の政治はグローバル化しており、重要な問題は日本
国内だけを見て判断すると間違う。
たとえば、北朝鮮のミサイル発射。尖閣周辺の中国の圧
力。これは選挙で、日本の軍備増強、原発推進、消費税
増税賛成、TPP賛成、改憲を主張する政党に有利に働い
た。
現代の政治はグローバル化しており、日本の重要な決定
には、米国の意向を受けて、東アジアの諸国がイデオロ
ギーとは無関係に動く。
北朝鮮の動きと、日本の仰々しいパフォーマンスは、危
険を煽ることで、わが国の改憲や軍国主義化を利する。
今や、わが国における金正恩のメディアへの露出度は、
どの外国のトップよりも高い。それはそのまま日本の改
憲・軍国主義政党への支援になっている。
それからTPPの問題がある。
米倉経団連会長など大企業の幹部が、TPPにこぞって賛
成するのは必然なのである。
なぜならかれらの世界企業はグローバル化されており、
国家・民族の上位に立っている。日本民族の将来あるい
は国家への忠誠心より、社長(会長)の将来あるいは会
社への忠誠心が、上位にそびえているのである。
つまり資本主義の哲学は弱肉強食を旨とする。それが、
経済がグローバル化することで、世界企業が政治の上に
立ち、政治のコントロール外に出てしまった。
米国でTPPに賛成しているのも、米国の1%のグローバ
ル主義者にすぎない。このグローバル主義者にとっては、
世界は多国籍企業で成り立っている。
彼らにとって、日本のTPP参加は、日本という企業を買
うのと変わらないのである。
日本のエネルギー政策もグローバル化されていて、米国
の政策通りに動いている。
アーミテージ元米国務副長官やナイ・ハーバード大学教
授らが発表した「対日政策提言」の要旨では、日本の
「エネルギー安全保障」として、次の提言がとりまとめ
られている。
「原発を慎重に再稼働することは日本にとり正しくかつ
責任ある措置だ。原子力は日本の包括的安保の不可欠な
要素となる。日米は原子力エネルギーに関する協力を強
化し、世界規模で原子力安全の促進を図るべきだ。
米国は資源ナショナリズムに訴えてはならず、民間企業
の液化天然ガス(LNG)輸出を禁じてもならない。日
米はメタンハイドレートの研究・開発で協力すべきだ」
(引用終わり)
この提言がとりまとめられたのは2012年8月のことだか
ら、福島原発事故の後である。
日本は米国と違って地震大国であり、また国土も狭く、
人口の密集地に原発が隣接している。
さらに日本の電力会社や政治家・官僚に、安全に原発を
維持・推進するだけの人材がいないことも、福島原発事
故でわかった筈だ。
それにも関わらず、原発を維持・推進しろというのは、
米国が、日本を核廃棄物のゴミ捨て場にするつもりとい
われても仕方があるまい。
◆ 原爆保有のための六カ所村(その3) ◆◆兵頭正俊さんから.
青森県六ヶ所村の再処理工場には、日本全国の原発の使
用済み核燃料が集められている。
この再処理工場というのは、多くの人が誤解しているが、
放射能を綺麗にしたり、消したりする目的の工場ではな
い。単にプルトニウムという長崎原爆の材料になった物
質を、抽出する工場である。
この再処理工場でプルトニウムを取り出す。
六カ所の再処理工場では狂気の工程が繰り返されている。
日本各地の原発で、せっかく金属棒に閉じ込めておいた
放射性物質を、六カ所村でバラバラに解体する。そして
高濃度の硝酸を高温度にして、ドロドロに溶かして液体
にする。そこからプルトニウムを取り出すのである。
六カ所村の再処理工場は世界で最も危険な化学工場とい
われてきたが、そこが作業過程で事故を起こし、現在止
まったままだ。
止まったので一安心、などといってはおれない。すでに
高レベル放射性廃液が240立方メートルも貯蔵されて止
まっているのだ。
広瀬隆が指摘するわが国の破局は、
1 この廃液の崩壊熱を冷却している配管が、大地震で
破断する。
2 大地震で電源系統が切断されて、冷却装置が停止し
て、液体が沸騰し始める。
3 「1」あるいは「2」の結果、再処理状の爆発によ
って工場の周囲100キロメートルの範囲で、全住民が致
死量の10倍から200倍の放射能を浴びて即死する。
地震大国の日本には原発を作ってはならないというのが
原則である。しかも1995年の阪神・淡路大震災から、わ
が国は地震の活動期に入っている。
かてて加えて、六ヶ所村にある使用済み核燃料再処理施
設には、「大陸棚外縁断層」があり、活断層が走ってい
る。
これらのことを考えると、現代の日本には放射性廃棄物
の処理能力がないのだが、それもいう必要はないのであ
る。
技術の問題以前に、国土の自然の条件で原発は止めねば
ならないのである。米国とは自然条件が異なるのだ。
こんな危険なところに、再処理施設を作り、稼働させる
こと自体が、許されないことなのだ。
『原子炉時限爆弾』で広瀬隆はいっている。
「「10年後に、日本という国があるのだろうか」と尋ね
られれば、「かなり確率の高い話として、日本はないか
も知れない」と、悪い予感を覚える」
(引用終わり)
広瀬は「原発震災」の恐怖を語っているのだが、今回の
衆議院選挙は、この亡国の恐怖を生み出した自民党に政
権交代をもたらした。
自民党政権の狙いはプルトニウムにある。つまり最終的
には原爆の保有が目的である。
そのためにすでに1990年より2兆円もの金をこの六
ヶ所村につぎ込んできた。
だから自民党がこの再処理工場を放棄することはけっし
てない。
消費税増税廃止(凍結)、反(脱)原発、TPP参加反対
を称えて敗北した政治家たちは、支援者に謝罪している
が、悪いのは、敗北に向けて国民を洗脳・誘導したマス
メディアであり、民主党への怒り・絶望を棄権というか
たちで表現した国民である。
わたしたちはもっと真剣に子供たちのことを、そして未
来の日本人のことを考えなくてはならない。
10万年も残るような危険物を、子々孫々に残すことを
わたしたちはやろうとしている。
未来の歴史家はこのわたしたちをどう総括するか。
歴史の裁きをわたしたちはもっと懼れなければならない。
そしてけっして希望を手放さないことだ。
遅すぎるということはない。
米国に対して、対等にものがいえる、政権、政党、政治
家さえもてば、民意に反することばかりやり続ける国の
状態はすぐに改まる。もっとまともな国にすぐに戻れる
のである。
年々にわが悲しみは深くして
いよよ華やぐいのちなりけり
岡本かの子
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