2013年2月23日土曜日

ARD(ドイツ公共放送) フクシマをめぐる日本の沈黙、嘘、隠蔽. 日本に大地震と津波が起きてからまもなく一年。 これが福島第一原発事故を引き起こし 日本の神話をいくつか壊すこととなりました。 原発が安全だという神話や 技術でなにごとも統治できるという神話です。 今日本では、政府や電気会社は、新しい神話を浸透させようとしているようです。 すべてコントロール下にあり、事故は収束したという神話です。 共同の忘却が求められているわけです。 そして54基もある原発からの 部分的撤退が決定されたものの最高60年まで 稼動期間延長が認可されて実質的に骨抜きにされています。 でも反対運動が起きています。 ここは別世界へ続く門だ。 防護服を着ている人にだけ、開かれる門。 渡辺氏は浪江町の議員を務めている。 浪江町は福島県の立ち入り禁止区域で、ゴーストタウンだ。 渡辺氏の仕事は、なるべく早く住民が故郷に帰還できるよう 除染の進行をチェックすることだ。 渡辺氏の道中に同行し 現実とは思えぬこの町を映像に撮った。 ここは寒く、人っ子一人いない、そして危険だ。 ここは24ミリシーベルトある。 浪江でもこれほど高いところはまずない。 谷底に見えるのは、ほとんどの日本人が今注目しているものだ。 立ち入り禁止区域から放射能にまみれた材木などを ここに運んできて、それで福島から避難してきた 人たちのための仮設住宅を建てたという。 スキャンダルとしか言えぬ原発事故の対処方法はあとを絶たない。 日本政府が今年目論んでいる計画はしかし、たくさんある。 春からは警戒区域を少しずつ解除していき 放射能の地獄の代わりに日常生活を戻そうという。 ここ津島でも除染隊が作業中だ。 彼らは町の区域全体を除染する使命を負っている。 道路、住宅、公共施設。 放射能の汚染の80%削減が目標だ。 しかしこの作業が、期待しているだけの成果をもたらすかは 誰にも分からない。 行動主義でごまかしているが、経験は誰にもない。 これが今日除染する区域です。 町民ホール、保育園、中学校、そして住宅地。 これが石井家のお宅で、ここは加藤家。 なにもかも高圧洗浄器で洗浄して、草はむしりとり、木は切り倒し 汚染された土を撤去します。 ここは東京の東電本社。 本社は二重に警備されている。 まずは警察の警備と、東電が雇うガードマンの警備だ。 彼らは警戒区域の大変な仕事からは遠く距離を置いている。 除染は政府と福島の地方自治体の仕事であり 東電が担当するのは原発だけだ、と言うのである。 そして東電からも、今後はいいニュースしか出さないつもりだ。 いつものようにインタビューができるのを門の前で待った。 東電は去年の暮れ、原子炉の「冷温停止」を誇らしげに発表した。 原子炉の温度は低温に保たれ 燃料棒は充分に冷却され、すべてコントロール下だ、と言う。 まだやらなければならないことはたくさんありますが とにかく重大なステップをこなすことができました。 原発は今管理下にあり、状態は安定しています。 本当にそうなのだろうか? 雪と塵が舞い続けるようなこの画像から 放射能が映像信号を妨げていることがわかる。 原発作業員は2号機の格納容器内部に内視鏡を入れ 撮影することに成功した。 これで東電はどのくらい水位が原子炉にあり 燃料棒が充分冷却されているか確認しようとした。 これでは何もはっきりとわからないのだが 東電が毎日行っている記者会見では、このブレの多い画像を どうやら大成功として位置づけたいようだ。 今は原子炉からはほとんど放射能が出ていません。 先日は冷却システムで短期間停電がありましたが それもすぐにまた修理することができました。 ですから福島の住民たちにはもう危険はないものと思います。 安定、もう危険はない、それ一点張りだ。 原発推進派はわずかで不正な情報を更に 過小評価することに徹している。 東京都知事は水を飲んでみせ 飲料水にも野菜果物にセシウムの心配はないとアピールする。 政府のスポークスマン枝野は福島産のトマトをかじって見せた。 そして園田政務官にいたっては原発浄化水を飲んで見せた。 原発ロビーはありとあらゆる方法で闘っている。 福島のことはできるだけ早く過去のものとして葬りたい。 このセクターで彼らはまた金稼ぎがしたいのだ。 将来の計画はすでに出来上がっている。 浜岡原発。ここは東京から200キロしか離れていない。 この原発は建設からすでに40年経っており しかも地震プレート上に建っているため危険性がよく知られている。 福島事故があったショックで浜岡原発は停止されたが この原発の情報センターでは今にも原発が再稼動しそうな気配だ。 色とりどりのショー 子供たちには中性子の漫画を見せ 大人にはいい情報だらけのビデオを見せて 浜岡原発はまた再稼動する、とはっきり言っているのだ。 設備を増強し、基礎をもっと丈夫にし 津波防波堤を高くし、完全防水のドアにするという。 そうしてスポークスマンは、住民の方たちに 安心していただけるように努力を続けています、と主張する。 私どもの作業員が今年一杯増強工事をしまして 来年からは、世界一安全性の高い原発となって再稼動できるでしょう。 浜岡原発の過小評価、そしてフクシマの汚いトリック。 ジャーナリストの鈴木智彦氏はそれに抵抗して闘っている。 彼は事故を起こした福島の原発に普通の作業員として 潜入し一ヶ月働いた。 そう遠くまで行く必要はないんです。 東京から車で2時間も走れば世界で一番危険な区域に入れます。 僕はそれを自分の目で見てみたかったんです。 彼は腕時計についた隠しカメラで自分の体験を撮影した。 毎日作業のために原発に向かう。 廃墟となった原子炉や、放射能で汚染された 冷却水を溜めたタンクが並ぶのを横に見る あんなに得意げに東電が公表した「冷温停止」など おとぎ話ですよ、と鈴木氏は言う。 年が明けて、いいことばかりを見せたかったのでしょうが あまりに大急ぎにいい加減な取付をしてしまった と鈴木氏は語る。冷却回路はどこもかしこも 安上がりのプラスチック製 ホースはストローみたいに薄い材料でできているので 冬になればそれが凍ってあちこちから汚染水が漏れるでしょう 原発での作業は殺人的だ。 防護服に防護マスク、それにヘルメット。 これで毎日4時間作業をする。これ以上長くは誰ももたない。 作業員は皆、過労、めまいを訴える。 これは放射能のせいではないかと皆、危惧している。 原発の放射能チェックは鈴木氏を含め作業員の 全員を何の問題もなくどんどんパスさせていく。 作業員の被爆量をはっきり把握しようなどという気は 東電には一切ないのです、と鈴木氏は語る。 原発には管理下にあるものなどありません。 原子炉のある建物は放射能が強すぎて入れません。  だから実際どうなっているかもわからないし 溶けた燃料棒をあとからどう取り出していいかもわからない。 あれだけ作業員は必死で働いていますが フクシマに関しては、解決策は出ていないのです。 原発にはなんの解決策もないのか? でも、避難民の最初のグループがもうすぐ帰還の予定だ。 浪江町議員の渡辺氏は懐疑的だ。 ゴーストタウンとなっているこの町に活気が戻るまで 本当は何年も待つべきなのではないだろうか。 それでやっと危険が判断できるようになるのではないだろうか。 原子力ロビーはしかしあと数週間でその状態にするつもりだ。

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