2013年2月18日月曜日

第4章14節 チェルノブイリ放射能汚染地域での放射線防御の方法 「チェルノブイリ」から訳出 http://www.asyura2.com/11/genpatu14/msg/694.html ヤブロコフ博士編著「チェルノブイリ・・・」からの訳出シリーズ④です。  農林漁業についての内容が主です。日本国の「科学的」専門家とJA・行政当局・生協など流通大手業者が、いかに甘い嘘話で何もせず、関係者を愚弄してきたか分かると思います。  5月にベラルーシかウクライナに視察に行った農務官は、菜種の撒き方を見学してきたそうですが、彼らは、本物の馬鹿か、あるいはこれらのことを知っていて隠匿しているか、どちらでしょう。  また、ここに述べられているような事を調べ伝え広めることなく「諦めて食え」と言うのも、いかがなものでしょう。この3月以来、知っていて語らない方々がたくさんいらっしゃいましたねえ。なぜにございましょうか、 The riddle of not telling of the protection measures!??????? Any contract? 最後の方に書かれているノルウェー政府とブルガリア政府の差に目を通して下さい。笑えてきます。自分の母国があのブルガリア並だったとは。この国の政府と科学者と知識人は、ごくごく一部を除き機能していない。ブルガリアの田舎独裁国家レベル以下の低能ぞろいか。何のための教育だったのか?心ある者たちを排除するための、巧妙な網に過ぎなかったとでも言うつもりか。 ChapterⅣ.14  p.311-p.316 原典 http://www.strahlentelex.de/Yablokov%20Chernobyl%20book.pdf シリーズ ①「第4章12節 チェルノブイリでの食品と人々の放射能汚染」fair use精神による投稿  http://www.asyura2.com/11/genpatu14/msg/501.html ②土壌汚染現在1138Bq/kgから5695Bq/kgで将来起こり得ること。「チェルノブイリ」より抜粋  http://www.asyura2.com/11/genpatu14/msg/568.html ③日本で起こり得ること ウクライナ ルギニ地区 1986年 50村中 22村1-5Ci/km2, 26村1Ci/km2以下  http://www.asyura2.com/11/genpatu14/msg/631.html (以下訳文) 体内吸収された放射性核種のために、ベラルーシ,ウクライナ,ロシアの汚染地域に住む人々の放射線被曝レベルは、1994年以来着々と増加している。放射能汚染された全地域に住む人々の健康を守るために、農業・林業・狩猟・漁業に関連した特別な防護施策が必要だ。食肉生産において、肉に取り込まれた放射性核種のレベルを減少させる過程で、効果的だと確かめられた施策の中に、フェロシアン化物・ゼオライト・鉱物塩を用いた食品添加物がある。Sr-90の拮抗物として石灰(Ca)、Cs-137の拮抗物としてカリウム肥料、硬化溶解性のSr-90燐化合物を形成する燐肥料を使用して、農作物中の放射性核種レベルを著しく低減することが成し遂げられている。輪作と有機・鉱物肥料を干草畑に繰り返しすきこむ事は、鉱物に富んだ土壌で生育した牧草中の、Cs-137とSr-90のレベルを3から5倍減少させる。放射性核種含有量を減らす食品テクノロジーには次のものがある。穀類の種子を洗浄、ジャガイモを澱粉に加工、炭水化物含有生産物を砂糖に加工、そして生乳をクリームとバターに加工すること。食品中の放射性核種を減少させるいくつかの単純な料理テクニックがある。放射性核種の生態系への再配分を制御する目的で、ベラルーシは「生きている隔壁」を作り出すために幾つかの山林管理施策を効果的に利用してきた。このようなあらゆる防護手段が、多くのヨーロッパ地域で何世代にも渡って必要となるだろう。  チェルノブイリの破局的事故の結果、数百万ヘクタールの農耕地が、37kBq/m2以上の濃度のCs-137によって危険を伴う程度に汚染されている。ベラルーシでは180万ヘクタール、ロシアでは160万ヘクタール、ウクライナでは120万ヘクタールだ。ベラルーシ農業省によれば、37から1,480kBq/m2レベルのCs-137に汚染された110万ヘクタール以上の農地で、農業生産活動が行われている。さらに同様に、加えて38万ヘクタールが5.55kBq/m2以上のレベルのSr-90に汚染されている。ゴメル州provinceの56%に及ぶ農耕地が汚染されている。そしてモギレフ県では汚染農地は26パーセントだ。数百万ヘクタールのベラルーシ、ロシア、ウクライナの森林が(22%以上のベラルーシ全森林地帯)危険な程度に汚染されている。(National Belarussian Report,2006)5百万人以上の人々がベラルーシ、ウクライナ、ロシアの汚染地帯に住んでいる。(詳細ChapterI参照)さらに、スウェーデン・ノルウェー・スコットランド・ドイツ・スイス・オーストリア・イタリア・フランス・トルコにわたる、幾つかの草原・森林・山脈・湖が測定可能な程度の汚染を示し続けている。  あの破局的事故の後23年に渡って、数千人の科学者と技術的専門家の献身的活動によって、自然資源(農業・林業・狩猟等)利用に結びついた汚染からのリスクを軽減するために、幾つかの方法と実践的施策が発展させられてきた。包括的な概観としては、これらすべての成果は別々の論文を必要とするだろう。この短い章は、汚染された地域で日々生活する中で用いられる資源に関して、放射線防護を達成するために考えられた若干の基本テクニックの概要を描くだけだ。    14.1. 農業における放射線防護施策  1.放射性核種が「許容可能」量に収まる生産が不可能な場所では、農耕地は使用放棄された。ベラルーシ,265,000ヘクタール、ウクライナ,130,000ヘクタール、ロシア,17.000ヘクタール。(Aleksakhin et al.,2006) 2. 食品中のCs-137とSr-90の許容レベルを確かめるために、放射能汚染された農耕地は、最終生産物コントロール技術について土壌と生産過程双方に関して義務的モニタリングを受ける。実効等価放射線量を1mSv/year未満に制限するために、個々人の総合的平均年間食品摂取量を計算することで、この許容レベルは設定される。牛肉とマトンについてCs-137レベルは、ベラルーシでは500Bq/kg以下、ロシアとウクライナでは160Bq/kg以下でなければならない。小麦とカラス麦(そば)は90Bq/kg以下など。(Bagdevich et al.,2001)それぞれの国が独自の放射線防護政策を有する。  3.作物中に含まれる放射性核種レベルを効果的減らすことは、次の手段により達成される。石灰(カルシウム)をSr-90の拮抗物として適用、Cs-137の拮抗物としてカリウム肥料、硬質可溶性リン酸塩を形成しSr-90を沈殿させる燐肥料、加えて、ゼオライト、腐泥(gyttja)、その他天然拮抗物と吸収剤。(Aleksakhin et al.,1992;and many other s;Table14.1) 4.生乳と肉の生産に使用される干草畑(牧草地と牧場)は、ベラルーシの汚染された全農耕地の半分をも占める。輪作と有機ミネラル肥料の応用物をすきこむために干草畑を繰り返し耕すことは、ミネラル土壌で生育する牧草中のCs-137とSr-90蓄積レベルを3から5倍低減する。泥炭地の干草畑のこのような徹底的処置はCs-137を急激に減らすが、Sr-90に対しては効果が少ない。耕作された干草畑の土壌劣化のために、肥料を用いて牧草地を繰り返し回復することが、3ねんから6年毎に必要とされる。  5.上に述べた様にして、大規模な国有農場と集団農場に対しては、放射線防護施策は効果的に適用される。小規模な私有所帯と農場においては、それはベラルーシでは農業生産の50%以上を占めるが、これらの放射線防護施策は偶発的だ。一般的に、ベラルーシの個人所有農園の牛1頭について、約1ヘクタールの干草畑と改良された牧場がある。これは家畜を養うためには不十分だ。そこで農民は、耕作された干草畑以上のレベルの放射能に汚染された林間草地や非耕作地から、干草を得なければならない。かくておびただしい数の居留地が、あの破局的事故の23年後でさえも、農業生産について不適切な放射線防御をしている。300以上のこのような居住地が、ベラルーシとウクライナにそれぞれ存在する。ロシアには150以上存在する。(Kashparov et al.,2005) 6.破局的事故の20年後、個人経営ベラルーシ農場の約10から15%の生乳が、許容レベルを超えるCs-137に汚染されていた。2006年に、1,000Bq/literという高レベルのCs-137を含んだ家庭用生乳の事例があった。ゴメル州では2004年に、約12%の牛肉が160Bq/kg以上のCs-137レベルだった。(BELRAD Institute data) 7.食肉生産過程で肉に取り込まれた放射性核種を減らすための、効果的な方法がいくつかある。(Table 14.2)また、食品中の放射性核種含有量を減らすための食品加工テクノロジーがある。(Table 14.3) Table 14.2訳注  ・牧草地と牧場の改良  ・フェロシアン化物を用いた食品添加剤  ・ゼオライトを用いた食品添加剤  ・鉱物塩を用いた食品添加剤  ・屠札前月に汚染されていない飼料を与える Table 14.3訳注  ・穀物種子の洗浄  ・ジャガイモの澱粉への加工  ・炭水化物含有物の加工、砂糖生産  ・生乳のクリームへの加工  ・生乳のバターへの加工  ・肉の調理上処置  8.Table14.4は、汚染地帯できれいな家畜飼育を達成するための、知られている主な化学的薬学的方法を示している。 Table14.4訳注 化学的および薬学的・対放射線被曝療法  ・放射性核種ブロッカーと除染物質   拮抗剤--競合剤  安定アイソトープ・化学的類似物   吸収剤       活性炭・ゼオライト・             ビタペクト・アルジソーブなど(セシウム・ストロンチウム排泄剤)   不可溶性化合物   フェロシアン化物・アルジネート・ペクチン・リン酸塩・   可溶性化合物    天然 フラボノイド・フラボン・アントシアン・カテキン・             合成 ジンカサインzinkacyne 等  ・放射線防護剤   抗酸化物      アミノティオール・二硫化物・チオ硫酸塩・ビタミンA,C,E ・DNAと細胞膜の安定剤 金属イオン・キレート剤・フラボノイド・  ・代謝抑制剤     シアン化物・二トリル・アジ化物・内毒素エンドトクシン  ・アダプトゲン    免疫刺激剤・ビタミン・微量元素  9.農業生産過程で放射能を減らすための、ここまでに記述してきたすべての方法は、追加的な材料と労働を必要とする。したがって、汚染地帯での経済効率は妥協の産物だ。採用される方法や補助金にもかかわらず、放射能汚染地帯の農業生産は困難であり続ける。そして、農民たちはしばしば、食肉生産用の牛飼育に替えてオイルと工業用穀類の生産などの、特殊な事業に転換する。 14.2. 林業・狩猟・漁業についての放射線防護  山林地帯はベラルーシに降り注いだチェルノブイリ放射性核種の約70%を蓄積した。破局的事故の直後、森林地帯のほとんどの放射性核種汚染は木々の表面にあった。植物の根はCs-137とSc-90を土壌から吸収して林の中へと送り出す、植物の他の部分へも送り込む。Cs-137に限った放射活動は、森林ベリーとキノコで20kBq/kgを超えることがあり、乾燥キノコでは150kBq/kgに達することがある。また、野生の狩猟獲物では250kBq/kgを超えることがある。陸封された貯水池の肉食魚類は、Cs-137レベルが300kBq/kgに達し得る。(詳細はChapterIII参照)    1.立ち入り禁止区域内では、それは1986年から1987年には幅30kmだったが、強制involuntary移住区域内同様、個人へのリスクが5.0mSvを超える線量の場所では、すべての林業活動は禁止されている。この区域では、定住は禁止され、経済活動は厳しく制限されている。強制移住区域は立ち入り禁止区域の外側のエリアで、そこではCs-137による地表汚染レベルは15Ci/km2以上、Sr-90による汚染レベルは3Ci/km2以上、Pu-239とPu-240による汚染レベルは0.1Ci/km2以上だ。強制移住区域は、放射性核種が汚染土壌から植物へと移動している低レベル放射能を伴う若干のエリアも含む。  2.ベラルーシ政府データによれば、破局的事故の数年後、汚染された森林生産物(野生ベリー・キノコ・薪等)の放射線レベルは、家庭農業生産物(生乳・パン・穀物等)の放射線レベルを超えていた。  3.破局の10年後、樹木の地下部分に含まれる放射性核種量は倍化し、森林生態系に含まれる総量の15%に達した。今でさえ、ベラルーシでは、外部放射線汚染のために、林業者は農業労働者に比べて2から3倍高レベルに被曝している。  4.森林労働者の放射線リスクを減らすために提案されている主な施策には次のことが含まれる。(a)汚染地域での滞在時間の短縮。(b)有人テクノロジーの最小化と機械化の最大化。(c)ガンマ放射線被曝から防護するために、農場機械と装置の運転席に安全装置と防護シールドを設置。(d)森林に入る際の特別許可申請を要請。(e)森林活動に季節ごとの規制を設定。(Maradudin et al.,1997) 5.汚染は増加しつつあり、また、汚染された薪を燃料として、その放射性灰を肥料として使用することで、さらに増えるだろう。これらすべての活動は個人の放射線線量を増していく。  6.森林産物の中で、キノコ・ベリー・ヘーゼルナッツは最も汚染されている。計測されたすべてのキノコとベリーの50%までもが、Cs-137の許容レベル(370Bq/kg)を超えていた。森林産物の摂取は、ベラルーシでの内部被曝個人年線量の最大40%をもたらす。森林産物中に執拗に持続するCs-137は、土壌汚染が37kBq/m2(<1Ci/km2)以下の地域でさえ、許容レベルを超える。  7.ベラルーシ国アカデミー森林研究所が明らかにしたことによれば、森林は、生態系の中で放射性核種の再配分を調整することにより、「生きた隔離壁」として役立つことができる。ゴメル州のヴェトカ森林とエリスク森林においてなされた試験的試みの中で、樹木の根部・森林ベリー・キノコ中の放射性核種量は、特別な営林・開墾方法の結果7倍にまで減少した。(Ipat'ev,2008) 8.水と風による風化の結果、汚染された森林地域から隣接した地域へ放射線核種の拡散を防ぐために、侵食された土地を再植林することが必要だ。風の流れにより、汚染地域から数百あるいは数千キロ以遠にも及ぶ放射性核種拡散を止めるために、山林火事を防ぎ消火活動効率を増進するための包括的努力が必要とされる。不幸なことに、これは1992年に猛威を振るった山火事の際になされなかった。  9.Cs-137レベル15Ci/km2(8538Bq/kg訳注65使用)以上の地区では、野生狩猟獲物を摂取することは危険だ。15Ci/km2までも汚染された地区では、すべての狩猟捕獲物に対して強制的な全般規制が必要とされる。汚染地域では2歳以上の野生イノシシとノロジカを狩ることが推奨される。なぜならば、それらは若い個体より取り込んだ放射性核種レベルが低い。  10.オオシカの状況は反対だ。成体と比べて若いオオシカの方が放射性核種の取り込みレベルが有意に低い。  11.狩猟対象動物の内臓器官(心臓・肝臓・腎臓・肺等)中の放射性核種濃度は、筋肉組織に比べ有意に高い。  12.主な狩猟対称種について、それぞれの放射性核種汚染レベルを降べき順に並べると次のようになる。狼 > 狐 > 野生イノシシ > ノロジカ > ウサギ > オオシカ。  13.汚染地域では、同種類の魚について、湖と池から捕獲された物より川と渓流から捕獲された物の方が、放射性核種レベルが有意に低い。肉食種(ナマズ・パイク等)より草食魚の方が、放射性核種レベルが3から4倍低い。低層魚(フナ・コイ等)は上水層に生息する魚(雑魚・ウグイ等)より数倍汚染されている。  14.貯水池養殖の際に、放射性核種汚染を有意に減少させる効果的方法が幾つかある。それは、池の底を50cmの深さまですいて流水で洗浄、カリウム肥料の使用、ビタミン類と抗酸化剤(放射線防護物質)を餌添加物として魚に与えることだ。(Slukvin and Goncharova,1988) 14.3. 日々の生活における放射線防護方法.  放射線防護と自助対抗策についての具体的教示は、次の文献中に見ることができる。Ramzaev,1992;Nesterenko,1997;Beresdorf and Wright,1999;Annenkov and Averin,2003;Babenko,2008;Parkhomenko et al.,2008;その他多数。    食品中の放射性核種を避けることはとても重要だ。もし摂取してしまったら、できる限り迅速に身体から取り除く努力をすることが大切だ。幼児では、Cs-137の生物学的半減期は14日、5歳では21日、10歳では49日、10代は約90日、若い成人男性は約100日だ。(Nesterenko,1997) 1.放射性核種摂取を減らす最も直接的方法は、重度に汚染された可能性のある食品を避け、また、低レベルの食品を摂取することだ。しかし、これをなすことはたやすくはない。なぜならば、各地域ごとに放射性核種生体蓄積の平均レベルは、土壌・栽培種・農業技術等により異なる。    異なるレベルの幾つかの汚染例を次に挙げる。  1.1. 野菜、ベラルーシの幾つかの地域におけるCs-137汚染を降べき順に挙げると、 シシトウガラシ > キャベツ > ジャガイモ > ビートの根 > スイバ・カタバミ > レタス > ダイコン > タマネギ > ニンニク > ニンジン > キュウリ > トマト。ゴメル州では、スイバ・カタバミ > ソラマメ・インゲンマメ > ダイコン > ニンジン > ビートの根 > ジャガイモ > ニンニク > シシトウガラシ > トマト > カボチャ > キュウリ > キャベツkohlrabi > カリフラワー > アブラナ (Radiology Institute,2003)   1.2. ベリー類 Cs-137降べき順 ブルーベリー(Vaccinium myrtillus) > コケモモ(V.vitis-idaea) > 赤・黒スグリ(Ribes sp.) >クランベリー(Oxycoccus)> 通常は イチゴ(Frgaria)> グーズベリー(Grossularia)> 白スグリ > キイチゴ(Rubus)> マウンテン・ナッシュ(Sorbus)  1.3. 肉類 Cs-137降べき順 家禽 > 牛肉 > マトン > 豚肉 年長動物の肉は、若い動物の肉に比べて、時間的蓄積のために放射性核種が多い。若い動物の骨はSr-90をより多く含む。内臓中のCs-137レベル降べき順は、肺 > 腎臓 > 肝臓 > 脂身。  1.4.卵 殻 > 卵白 > 卵黄  1.5.魚 肉食・低層魚(パイク・スズキ・コイ・ナマズ・フナ)はより汚染される。川と流水にすむ魚は湖と池の魚より常に汚染が少ない。  1.6.キノコ 通常カサは茎よりもCs-137を多く含む。ハラタケ類(Agaricales)はアミタケ類(Boletus)より通常放射性核種を多く含む。 2. Cs-137の生物学的性質は安定K・Rbの性質と似ている。そして、Sr-90とPuはCaに似ている。これらの性質は身体のどこに濃縮するかを決定する。したがって、安定元素の使用は放射性核種吸収を減少させることを助ける。    カリウムKに富んだ食品は、ジャガイモ・トウモロコシ・豆類・ビート・ダイコン・乾燥アプリコット・茶・ナッツ・レモン・乾燥プラム。カルシウムCaに富んだ食品は、生乳・卵・マメ科植物・西洋ワサビ・グリーンオニオン・カブラ・パセリ・イノンド・ホウレン草。緑野菜・リンゴ・ヒマワリの種子・黒チョークベリー・ライ麦は鉄Feに富む。ルビジウムRbは赤ブドウにある。  3.放射能汚染に対抗して防護する食事は、放射性核種の排泄を急速に促進させるために、汚染されていない果物と野菜・ペクチンに富むもの・高繊維複合体に富むものを含まなければならない。  4.果汁を含む液体の大量摂取は、尿中に汚染物質を排泄することを促進する。  5.毎日、抗酸化物質(ビタミンA,C,E,微量元素Zn,Co,Cu,Se)を摂取することが推奨される。 6.放射能汚染に曝されている人々は、ヴィタペクト(ChapterIV.13参照)のような特殊な食品添加物や、リンゴ・緑藻(スピルリナ)・ファーニードルfir-needle等から作られた製品を摂取すべきだ。  7.放射性核種を減少させる幾つかの簡単な料理方法がある。何回も食品をゆでてゆで汁を捨てる、食品を徹底的に洗う、食品を水につけ水を捨てる、果物と野菜の外皮を避ける、食品を塩漬けか酢漬けにしその漬け汁を捨てる。濃いすましスープは避ける、精製バターを使用する等。  破局的事故の後、世界中から寄せられた経験によれば、放射性フォールアウトの影響に対抗するための情報と方法を提供されなかった諸国の市民は、そのような援助を提供された国々の市民に比べて、より惨めに過ごした。1986年、ブルガリアの「平均的」個人に対する実効個別線量は、ブルガリアでは緊急事態防護策が何もなかったので、0.7から0.8mSv、つまり言い換えると、「平均的」ノルウェー人の線量の約3倍だった。ノルウェー政府は、葉物野菜と新鮮な生乳を摂取することを禁止した。汚染された肉を廃棄し、牛を牛舎に閉じ込めた、牧場と貯水池から放射能活性を取り除き、屠殺前にきれいな馬草を牛に与えるよう法的に命令するなどした。ブルガリアの汚染レベルは測定された限りノルウェーより低かったにもかかわらず、ノルウェーでは汚染線量の希釈が生じた。(Energy,2008) 1994年以来、放射性核種の体内吸収---自然的放射能崩壊にもかかわらず最も危険な被曝形態により、ベラルーシ・ウクライナ・ロシアの汚染地域に住む人々の放射線被曝は増え続けている。  チェルノブイリ由来の放射性核種が土壌・根部分に移動することで、植物はそれを吸収し、植物の表面に転送し、食用部分に取り込む。農林業生産物に含まれる放射性核種は食物連鎖に取り込まれ、それらの食品を摂取するすべての人々に対する、放射線の危険性を著しく高める。現在最も危険な汚染物質はCs-137とSr-90だ。この先数年で状況は変化し、Am-241がとても危険な問題を与えてくるだろう。(Chapter I参照)  少なくとも6から7世代に渡って、ベルラーシ・ロシア・ウクライナの広大な地域で、農業・林業・狩猟・漁業における放射線被曝をコントロールするための、特別な方策がとられなければならない。スウェーデン・ノルウェー・スイス・オーストリア・フランス・ドイツを含む、放射能高汚染地域を伴う他の国々においても、それは同じくなされなければならない。これは次のことを意味している。地域経済は、全生産物に含まれる放射性核種レベルを最小化ざるための、外部からの援助貸与と寄付を必要とするだろう。なぜならば、単純なことだが、多くの地域はモニターし、教育し、防護を指示するための資金を有していないからだ。このように、汚染に関する問題はダイナミックで、常にモニタリングと規制を必要とする---Cs-137とSr-90については少なくとも150から300年間、未来に及んで。より広い範囲の放射性アイソトープによる汚染はダイナミックで、不断のモニタリングとコントロールを本質的には永遠に必要とするだろう。

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