2012年12月9日日曜日

井戸川克隆双葉町長を辞任においやって進められようとしている福島県双葉町内の中間貯蔵施設建設. http://tokyopastpresent.wordpress.com/2012/12/09/%E4%BA%95%E6%88%B8%E5%B7%9D%E5%85%8B%E9%9A%86%E5%8F%8C%E8%91%89%E7%94%BA%E9%95%B7%E3%82%92%E8%BE%9E%E4%BB%BB%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%84%E3%82%84%E3%81%A3%E3%81%A6%E9%80%B2%E3%82%81%E3%82%89%E3%82%8C/ facebookをみていたら、福島第一原発が所在する福島県双葉郡双葉町の井戸川克隆町長が双葉町議会から辞任をせまられているという一報があった。驚いて、ネット検索してみた。福島民報は、2012年12月9日に、次のような記事をネット配信している。 町長に辞任要求へ 双葉町議会、週明けにも  福島県双葉町議会は8日までに井戸川克隆町長に対し辞任を求める方針を固めた。週明けにも辞任の要求書を井戸川町長に提出する方向だ。  町議会は7日に開いた全員協議会で意見を調整した。町議によると、井戸川町長が議会と情報の共有化に努めていないことなどが辞任要求の理由として挙がったという。  全員協議会では11月28日に福島市で開かれた中間貯蔵施設に関する県と双葉郡との協議に井戸川町長が欠席したことも問題と指摘された。町議の1人は「協議に出席して町の意見を伝えるべきだった」と話している。 ( 2012/12/09 10:34 カテゴリー:主要 ) http://www.minpo.jp/news/detail/201212095369 前段の理由はある程度あっただろうが、辞任要求の理由にはならないだろう。むしろ、後段の「中間貯蔵施設に関する県と双葉郡との協議に井戸川町長が欠席した」ことが辞任要求の大きな理由と考えられる。 このことについては、遡って考えてみる必要がある。除染などで出た放射性廃棄物の中間貯蔵施設を双葉郡内に建設する案については、昨年から提起されていたが、住民らの反発にあっていた。その代表者が井戸川克隆双葉町長であった。「容認派」も含めた昨年末の状況を福島民報は次のように伝えている。 【双葉郡に中間貯蔵施設要請】住民、怒りと落胆 「帰れなくなる」 除染のため必要の声も  細野豪志環境相兼原発事故担当相が28日、中間貯蔵施設の双葉郡内への設置を佐藤雄平知事に要請したことに対して、双葉郡の住民からは長期間にわたり廃棄物が貯蔵されることに怒りと落胆の声が上がった。一方で、仮置き場の確保のためには決断が必要との声も。双葉郡各町村長は重い宿題を課せられ難しい決断を迫られる。県が、受け入れに向けて動きだすとしても関係町村を説得できるかなど乗り越えなければならない課題は多い。 ■反発  「土地の買い上げや生活費の賠償がなければ絶対に受け入れられない」。会津若松市の仮設住宅に暮らす大熊町の無職荒木俊夫さん(63)は中間貯蔵施設の設置について憤る。  自宅は東京電力福島第一原発から約4.5キロ。線量だけでみれば、自宅周辺は「帰還困難区域」になる。「この先の生活が全く見通せず、不安は募るばかり。国、東電が今後、きっちりと対応してくれるのか」と疑問を投げ掛ける。  東京電力福島第一原発が立地する双葉町に住み、会津地方に避難している高校3年生の高野安菜さん(18)は「しばらく帰れないと覚悟はしているけど、施設建設は本当に嫌」と強く拒絶した。原発事故から9カ月半。埼玉県などに避難した同級生とは会えない日が続く。年越しが迫るが「年始の準備なんてする気になれない」という。「中間」とはいえ、施設が設置されれば最大30年間、廃棄物が貯蔵されることになる。「(郡内設置が)はっきり決まったわけではないんですよね」と念を押しつつ、「10年以上もお世話になった町。思い出が壊れてしまう」と声を落とした。  中間貯蔵施設の候補地として有力視された両町の住民の反発は強い。 ■気持ち複雑  「原発周辺に施設を造れば帰ることができなくなるのでは」と不安をのぞかせているのは福島市の借り上げ住宅に避難する浪江町の理容師、小川昌幸さん(44)。子どもは帰りたいと言うが「完全に元の状態になった上でなければ不可能な話。何とも言えない」。  茨城県つくば市に避難している双葉町の双葉ばら園主、岡田勝秀さん(67)は「中間貯蔵施設は双葉郡外にとの考えもあるが、現実は厳しいだろう。仕方がないのではないのか」と考えている。ただ、40年以上前から開墾し整備してきた自慢のばら園を思うと気持ちは複雑だ。  郡山市の仮設住宅に夫妻で暮らす富岡町中央行政区長の遠藤武さん(68)も「断りようがない。やむを得ない状況なのだろう」と言葉を選んだ。「建設するなら国は土地の買い上げなどそれに見合ったものを提供すべきだ」と求めた。双葉町から白河市に避難している60代の男性は「他県が引き受けることは実際には考えられない。避難者の生活保障を東電任せにせず国がきちんと対応することが重要だ」と指摘した。 ■温度差  中通りで除染問題に悩む住民は、仮置き場からの搬入先となる中間貯蔵施設の議論が始まったことに安堵(あんど)しながらも、双葉郡住民の心情を思い、複雑な気持ちでいる。  福島市渡利の看護師出雲キヨさん(75)は「これでようやく除染が進む」と話す。渡利地区は市内で比較的放射線量が高く、市が年明けに本格的な除染を予定している。しかし、市は仮置き場の選定に慎重になり、まだ設置場所が確定していない。中間貯蔵施設が決まれば、仮置き場問題も進展すると考えている。「ただ、双葉郡の住民のことを考えると非常に難しい問題だ」と語った。  郡山市の桑野第2町内会長の今泉久夫さん(78)も地域の通学路の除染で出る土砂などの仮置き場が決まらないのが悩みだ。しかし、「双葉郡の住民にすれば到底納得はできないだろう。国が安全を確保するという約束が必要だ」と強調した。 地域にどう説明 各首長”重い宿題” ■険しい道のり  双葉郡の首長らは協議会後、重い宿題に直面し表情を曇らせた。  双葉地方電源地域政策協議会長の遠藤勝也富岡町長は「8町村で議論したい」と気を引き締める。その上で「住民の理解は難しい仕事。双葉郡だけで解決できる問題ではなく、県と連携し前に進みたい」と語った。  渡辺利綱大熊町長も「双葉郡の全体的な問題で、町単独で判断することではない」とする。施設の設置場所については「(建設に)手を上げる自治体はないだろう。施設のマイナスイメージの払拭(ふっしょく)は容易でない」と決定までの道のりの険しさをにじませた。  協議会で中間貯蔵施設の議論になると「議題に乗っていない」と議事を止めたのは双葉地方町村会長の井戸川克隆双葉町長。しかし、町村関係者の多数決で議事は継続になった。施設を1カ所とすることも示され「国は以前、数カ所と言っていた。信用できない」とぶぜんとした表情だった。  一方、浪江町の馬場有町長は「今日はあくまでスタートライン」と受け止める。中間貯蔵施設はマイナスの印象が強いことも理解している。「県外の避難者が町に戻って来なくなる心配もある」と悩みを深めた。  中には中間貯蔵施設の役割を重く受け止める首長もいる。草野孝楢葉町長は「除染には施設が必要で、双葉郡内に設置するのはやむを得ないのではないか」と受け入れ容認の考えを示した。松本允秀葛尾村長は「建設に向けた話が出たことはいいこと」と前向きに受け止めた。  また、遠藤雄幸川内村長は「帰還に向けて除染と処分場は必要。相反する部分の解決をどうするかが課題だ」と指摘した。黒田耕喜広野町副町長は「双葉郡が足並みをそろえて協議することが大切だ」と淡々と語った。  各首長の間にも施設の受け止め方に温度差が出始めている。 ■申し訳ない  細野豪志環境相兼原発事故担当相は佐藤雄平知事との会談の中で、何度も「申し訳ない」と頭を下げた。  本県の最大の課題である除染を進めるため、「いずれかの場所に中間貯蔵施設を造らなければ除染が進まない」として、双葉郡内に中間貯蔵施設を設置したいとする考えを切り出した。  県幹部は「中間貯蔵施設を受け入れるかどうかは双葉郡の町村の意向が前提となる」とした上で、「双葉郡内での調整が難しい場合は、県としても調停役を務める」との考えを示す。  しかし、ある双葉郡の議会関係者は「県は判断を双葉郡に丸投げしているような印象だ。しっかりとリーダーシップをとるべきだ」と県の姿勢を批判した。 【背景】  環境省は10月29日に除染で出た放射性物質を含む土壌などの廃棄物を保管する中間貯蔵施設を今後3年程度を目標に県内に整備し、廃棄物は貯蔵開始から30年以内に県外で最終処分するとした工程表を示した。中間貯蔵施設に廃棄物を搬入するまでの間は各市町村が設ける仮置き場での一時保管を求めている。仮置きの前提となる中間貯蔵施設の建設が具体化しなければ、仮置き場の確保も進まず、除染が滞る懸念もある。 (2011/12/29 15:19カテゴリー:3.11大震災・断面) http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2011/12/post_2881.html ところが、8月19日に政府が、双葉・大熊・楢葉町の12ヵ所を候補として、現地調査に協力してほしい旨を依頼した。8月23日には大熊町議会が現地調査を受け入れる方針を決めた。そして、10月17日には双葉町議会も中間貯蔵施設建設を条件付きで受け入れるとした。それを伝えるのが、福島民報の10月18日付のネット記事である。 条件付き受け入れ方針 中間貯蔵施設で双葉町議会が町民懇で示す  双葉町議会は、東京電力福島第一原発事故による汚染廃棄物を運び込む中間貯蔵施設建設を条件付きで受け入れる方針を固めた。17日、福島県南相馬市で開いた町民と議会との懇談会で明らかにした。  懇談会で伊沢史朗副議長は「議会の中での意見調整はついている。放射性廃棄物は全国どこの自治体でも引き受けない。双葉町が引き受けざるを得ない」と述べた上で、「ただし、単に受け入れるのではなく条件が必要。賠償などを議会として考えている」と強調した。菅野博紀議員は賠償や町民の健康確保などを受け入れ条件に挙げ、「8人の議員が話し合った議会の統一見解」と述べた。  出席者からは「(受け入れるための)条件を国に提示して話を進めるべき」などの意見が出された。  井戸川克隆町長は国が一方的に施設設置を提案していると強調。明確な理由を示すように求め、設置に否定的な考えを示している。 ( 2012/10/18 09:02 カテゴリー:主要 ) http://www.minpo.jp/news/detail/201210184304 しかし、ここでも、井戸川克隆町長は、中間貯蔵施設受け入れ拒否の姿勢を貫いたのである。ここで、中間貯蔵施設受け入れについて、町長と町議会が対立したのである。 そして、11月28日、佐藤雄平福島県知事は、双葉郡の町村長との協議会を開き、そこで、中間貯蔵施設建設についての現地調査受け入れの方針を正式に示した。つまり、福島県としても双葉郡への中間貯蔵施設建設を容認する方向に向かったといえよう。しかし、井戸川克隆双葉町は、双葉地方町村会会長であったが、この協議会を欠席した。現時点では中間貯蔵施設の受け入れを容認できないという初志を貫徹したといえよう。福島民報は、11月29日に次のような記事をネット配信している。知事の「建設容認ではない」というのは、言い訳にしても苦しい。 知事、現地調査受け入れ 中間貯蔵施設 「建設容認ではない」  東京電力福島第一原発事故による汚染土壌を搬入する中間貯蔵施設の整備をめぐり、佐藤雄平知事は28日、建設候補地の現地調査の受け入れを表明、長浜博行環境相に伝えた。施設建設の受諾ではないことを明確にすることなど3項目を条件に挙げている。環境省は年明けにも調査を開始し、3カ月程度で終了させる方針だ。  福島市で双葉郡の町村長との協議会を開き、(1)調査受け入れと建設の受け入れは別であることを明確にする(2)地域に対する丁寧な説明と設置者としての責任をしっかり果たす(3)調査の状況を適時に報告する-を条件に受け入れることで一致。長浜環境相に全ての条件を着実に実行するよう申し入れ、対応策を示すよう求めた。  長浜環境相は同日、環境省内で記者団に対し、「施設の設置受け入れではないことを佐藤知事との間で確認した」と説明。佐藤知事が挙げた条件に応じることを明らかにした。環境省は地権者の確認と、同意を得る作業に並行して年内にボーリング調査などを行う業者を選定する。  協議会終了後、佐藤知事は記者団に「調査しなければ、施設の安全性を確認できない。広域自治体の長として苦渋の決断をした」と説明する一方、「現地調査の受け入れであり、建設を認める訳ではない」と強調した。  環境省は今年8月、建設候補地として大熊町の9カ所、双葉町の2カ所、楢葉町の1カ所を示し、県、双葉郡8町村に現地調査の受け入れを要請した。  建設候補地を抱える双葉町の井戸川克隆町長は、「国の説明を受けていない」として協議会を欠席した。同町の建設候補地には町有地が含まれており、地質などを調べるボーリング調査の実施には町の同意が必要となる。 ( 2012/11/29 08:08 カテゴリー:主要 ) http://www.minpo.jp/news/detail/201211295149 これが、結局、佐藤知事の現地調査受け入れを唯々諾々と容認した、他町村長たちの怒りを買った。井戸川克隆に双葉地方町村会会長の辞任を迫ったのである。それを伝える福島民報の11月30日のネット記事を下記に示す。 井戸川会長に辞任要求 双葉地方町村会の町村長  双葉町を除く双葉郡の7町村長は29日、双葉町の井戸川克隆町長に双葉地方町村会長を辞任するよう求めた。井戸川町長は28日に福島市で開かれた、中間貯蔵施設の整備をめぐる知事と双葉郡8町村長の協議会を欠席したため。  同町村会副会長の山田基星広野町長は29日、井戸川町長に電話で連絡し、30日までの返答を求めた。山田町長によると井戸川町長は辞任について即答せず「8町村長が集まる場を設けたい」との意向を示したという。  複数の町村長によると、井戸川町長は2月に国と双葉郡8町村の意見交換会を欠席していることなども背景にある。28日の協議会終了後、7町村長から「国や県を交え(会合には)重みがある。いかなる理由があっても会長として出席すべき」との声が上がり、総意として辞任を求めることにした。  正副会長の任期は平成25年3月末。 ( 2012/11/30 10:17 カテゴリー:主要 ) http://www.minpo.jp/news/detail/201211305185 そして、早期に受け入れを表明した大熊町には、政府から「恩賞」を与えられた。中間貯蔵施設の候補地を9ヵ所から6ヵ所に減らすというのだ。それを伝える12月6日の福島民報のネット記事を下記に示す。しかし、「(減らす3カ所があるのは)サケが遡上(そじょう)する熊川の周辺。扱いは慎重にすべきという実感を持った。町の意向に沿うようにした」というのは……。悲しくて言葉もでない。 大熊町の中間貯蔵施設建設候補地 9カ所から6カ所に減らす方針  東京電力福島第一原発事故による汚染土壌を搬入する中間貯蔵施設の建設をめぐり、環境省は5日、大熊町の9カ所としていた建設候補地を6カ所に減らす方針を町と町議会に示した。町内南部の3カ所を北部6カ所に集約させる。ただ、同省は施設に搬入させる土壌などの量を減らさない方針で、北部6カ所の施設の面積は増える可能性がある。  同省の小林正明水・大気環境局長が5日、会津若松市で渡辺利綱町長、千葉幸生町議会議長らに方針を説明した。同省は候補地の対象としない3カ所について現地調査をしない。小林局長は「(減らす3カ所があるのは)サケが遡上(そじょう)する熊川の周辺。扱いは慎重にすべきという実感を持った。町の意向に沿うようにした」と理由を述べた。  一方、施設に搬入する土壌の量については「一定の容量は確保できるようにする。候補地が北部の6カ所に加え、周辺地域に広がる可能性はある」と話した。同省は現地調査の準備作業を年内にも始める予定。  説明を受けた渡辺町長は「(熊川周辺を候補地としないよう)町民感情も考えて要請していた。削減は当然」と語った。ただ、「施設に搬入する土壌の量や最終処分場の在り方など全体的に不明確な部分も多く、調査結果が出た上で町の対応を考えたい」とした。今後、区長会を開いて報告し、地権者、町民に説明する方針。  千葉議長も「熊川周辺は自然豊かで観光面からも復興のシンボルの一つとなる」と同省の方針を一定程度評価したが、搬入する土壌の量などの説明が不明確と強調し「説明に根拠があるのか疑問」と述べた。 ( 2012/12/06 11:38 カテゴリー:主要 ) http://www.minpo.jp/news/detail/201212065308 たぶん、これが決め手になったのだろうと思われる。双葉町議会はそもそも中間貯蔵施設の条件付き受け入れに賛成していた。しかし、井戸川克隆町長の受け入れ拒否の姿勢は堅い。しかし、大熊町が早期受け入れを表明して「妥協」(考えてみれば考えてみるほど悲しい「恩賞」である)を獲得したことに刺激され、早く交渉しなければという気持にかられたのであろうと思われる。大熊町で減らした分を双葉町に押しつけられては困るというのだろう。 まず、「双葉地方町村会」を使って、一見強制でない形をとって「合意」をとり、反対派の井戸川克隆町長を孤立させていく。他方で、大熊町と双葉町を「容認」について競わせているが、福島第一原発を建設する際にも、福島県は大熊町と双葉町を競わせて、原発誘致に積極的にさせようとしていた。そして、最終段階で、町議会が井戸川町長に辞任要求をつきつけるというのである。こういう形で、現在、井戸川克隆町長は難局に直面しているといえる。 そして、「総選挙」という状況を利用していることも注視しなくてはならない。普段であれば、そもそも双葉郡における中間貯蔵施設建設容認、そして、そのことを背景にした井戸川克隆町長への辞任要求は、かなり大きなスペースで伝えられるはずである。そのことについての批判も大きいはずだ。しかし、現時点では、総選挙報道に塗りつぶされてしまっている。ほとんどの人ー特に埼玉に避難している双葉町民ーが、十分検討できない状況をねらって、重大なことが行われようとしているのである。 About these ads

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