2012年10月19日金曜日

小沢一郎氏と河合弘之弁護士のドイツ視察・その2. http://tkajimura.blogspot.de/
さて、昨日の続きですが、まずは二枚の写真をご覧ください。今週明けのベルリンの天気は、気温も下がり悪天候でしたが、「国民の生活が第一」の小沢一郎氏らのドイツ脱原発視察団が到着した日から好転し、二日目の昨日はご覧のように、ドイツ語で「黄金の10月」と呼ばれるにふさわしい紅葉が政府中枢の広場でも堪能できました。このような好天は、ほんの数日しか恵まれません。 ドイツ国会議員と会談を終えた小沢氏と河合氏の満足感が見えます。 10月18日の午後、連邦議会環境委員会の委員長らと議員会館で会談を終えた5名の訪独団のには、ドイツでは脱原発促進政策だけではなく、文字どおり天も味方したかのようです。気温も18度まで上がり、コートも不要なほどでした。 小沢一郎氏の紹介は必要ないでしょうが、訪問団に参加している河合弁護士は、フクシマ事故後に脱原発弁護団全国連絡会を呼びかけ代表となり→脱原発全国ネットワークでは、先月、会期末の国会に提案され継続審議となっている脱原発基本法案を海渡雄一弁護士らとともに超党派の国会議員を巻き込んで市民議員立法として作り上げた日本の筋金入りの反原発弁護士の代表格であることを、あらためて強調しておきます。 以下10月17日、18日のベルリンでの様子を、多くの日程の中から拾って、重点的に写真で紹介します。 (17日の太陽光発電施設の視察) 視察第一日目のこの日は、正午、アルトマイヤー環境大臣との会談(これは日本からの随行記者皆さんがすでに報告している通りです。ケチくさく、けしからんことに会談本体には日本大使館関係者だけが傍聴し、記者団は会談前後のぶらさがりの取材しか出来ませんでした。今度アルトマイヤー大臣に合う機会に苦情を言っておきます)を終えた午後、ベルリン近郊の昨年末に完成したばかりの太陽光発電施設を視察しています(前項のその1の冒頭の写真がそれです)。 施設に着いた両氏。 ここの施設は、ベルリンのシュパンダウ地区の郊外にある有限会社→Saferay社が、昨年末に約2ヶ月の工期で建設しています。同社は2010年から世界中に太陽光発電施設を建設している新しいベンチャー企業のひとつです。  会社の目的としては、ドイツではエネルギー促進法(EEG)で再生エネルギー施設の建設営業には国からの援助特典があるが、それが消失するのを待つ前に、援助なしで自社投資だけで採算が取れる施設を実現しようとすることにあるとのことです。つい最近にはこの部門の商敵である中国にも進出しているとの説明がありました。  さてここの施設は、1930年代には、世界一周した気球船ツェッペリンの飛行場であり、戦後はベルリンの壁に沿った旧東ドイツの軍事境界線緩衝地帯となったため、壁崩壊後も空き地であったところを利用して建設されています。今でも滑走路跡が残っているとのことです。そこは雑草が生えにくいのでありがたいとのことでした。 日本大使館の広報担当官もメディアの多さにびっくりしていました この発電施設の発電能力は21メガワットで、太陽光モジュールはドイツのキューセルズ社のものです。小沢氏の発電能力に関する質問には、このモジュールは太陽光の強い例えば南米のチリでは北国のドイツの倍ぐらいとなり、日本ではそのおよそ中間ほどでしょうととの説明がありましたが、ここでは間違って通訳されていましたので補完しておきます。 広大な施設を見学したあと、記者団のインタッヴューが始まったとたんに、薄曇りの間から陽が射し始めました。 小沢氏は陽のあたる人物のようです。 質問に答えて「日本では太陽光発電も良いですが、 わたしの地元の岩手でも温泉地の地熱発電がドイツよりもはるかに有望だと思います」などと良いご機嫌で答えていました。 わたしはこの人物に初めて合ったのですが、タフです。日本との7時間の時差など無かったように昨夕に到着したばかりのこの日も、早朝からベルリンの中心を一時間ほど散歩したとのことです。 脱原発でもたつく民主党を割って新党を結成 し、脱原発の旗を揚げて、河合弁護士らの能力に注目して脱原発基本法案の国会提案に飛びついた政治感覚はなかなかのものです。ドイツを視察して、脱原発構想が夢想ではないことを実感すれば、間違いなく増々タフになるでしょう。 *ついに陽の当たる河合弘之弁護士 河合弁護士といえば、このブログでも早くから紹介しましたが、何度も日弁連環境部会のドイツ視察でお会いしています。 ずいぶん前からわたしは通訳もかねてドイツの初期の太陽光発電や、最新の原発の視察につきあったものです。 今回の訪問の連絡が事務所から あったので取材に出向きましたが、この日も施設の入り口を小沢氏と並んで入って来たとたんに、わたしを見つけてカメラの放列の前で「やーやー、梶村さん」と走って来て握手されたり、国民の生活が第一の副幹事長の松崎哲久衆議院議員には「この人はドイツの脱原発の生き字引だから」などと大げさに紹介されたりして、何度も面食らわせられました。これには、お互いに何十年も前からの高木仁三郎学校の生徒であったことが背景にあります。  高木氏から学んで、何十年も原発差し止め訴訟で敗北に敗北を重ねて来た苦労と怒りが、この人物の今日のものすごいエネルギー源です。この日久しぶりに合って、請われて撮った写真は、ドイツの脱原発の「陽の当たる河合弘之」のポートレイトとなっています。このような河合氏の表情は滅多に観られないのではないかとおもいます。 この日、彼がわたしにぶつけた最初の質問は「ドイツ人はどうして反原発意識が強いのか理由がどうもわからない」でした。歴史的背景を説明して「それは二度と故郷を失いたくない。もう一つは二度と加害者にはなりたくないという歴史認識が根本にあるからです」というのがわたしの回答です。これについては→「フクシマが日本社会に問いかけるもの」を参照して下さい。 (18日のドイツ連邦議会環境委員会の与野党議員との懇談。) 二日目はドイツの商工会議所などとの懇談がありましたが、ここでは議員会館で行われた、ドイツ連邦議会環境委員会の与野党議員との懇談を取り上げます。 この模様は一時間足らずの短いものでしたが、記者にも公開で、ありがたいことにIWJで 平山茂樹さんが実況中継されており、録画も観ることができます。二つにわかれていますが録画は→ここと、→ここです。 長いものではないので是非ご覧くださり、ネットで拡散して下さい。平山氏は残りの南ドイツでの視察も中継録画されるようです。感謝します。 ここには緑の党の代表委員としては、もちろん前項でも紹介しましたようにバーベル・ホェーンさんが話しています。この会談での彼女の特に大切な発言は、ドイツでは再生エネルギー促進で、発電主が大企業の独占体制から、発電の民主化の実現として地方自治体と市民の手に徐々に移行しつつあるとの指摘です。今では風力や太陽光発電の普及で、発電主が全国で100万人ほどになっており、その11%が農民である。このようにして地方経済の活性化に有効である、との指摘でしょう。  この日の通訳の女性は非常に優秀な方ですが、朝からの疲れもあってか、日本を良く知っているホェーンさんが「Atomdorf=原子力村」という日本語のドイツ語直訳を使った時にとまどっておられました。原子力村はいまや日本の原子力ロビーの代名詞として世界中に知られているのです。 議員懇談を終えて。国民の生活が第一訪問団4名のみなさん。右が松崎哲久議員。背景は国会議事堂。 さて、懇談を終えた小沢氏に、感想を聞くと「日本では期限を決めた脱原発政策を持っているのが我が党一つだけであることにドイツの議員さんは驚いていたようだ」との感想でした。議員会館前でのインタヴューでは、会談で出された日本の増加するプルトニウムの問題に関しての質問に対し「原発を維持してプルトニウムを保持することが日本の抑止力となるとの主張があるが、内外に余計な誤解を生むだけであるから、そんなこことは発言すべきではない」との旨の返事がありました。 これは正論であり、わたしも全くその通りであるとおもいます。最近のこの手の発言は、ドイツのメディアでも極右政治家の本音として報道されています。日本を危険視しているのは決して中国、韓国などアジア諸国だけではないのです。 このような小沢氏の表情は珍しいでしょう。 終わりにドイツの日本人記者の長老である永井潤子記者が、ベルリンの印象を尋ねますと、「緑が多くて本当に奇麗ですね」と破顔一笑され、翌日から南ドイツへでの視察のため空港に一行は向かいました。 そこでは、廃炉が決定し稼働中止したの原発と、再生エネルギーで電力の自給自足を実現している自治体を視察する予定です。 この訪独団は日本の圧倒的多数の願いである河合弁護士らの苦心による 脱原発基本法という希望の鈴を進んで身につけて実現しようとする日本の政治家の方々です。 80%の市民が脱原発を支持し、再生エネルギーで持続可能な社会を実現しつつあるドイツの現場を訪れて、この構想の実現こそが危機にある日本が立ち直る、最善で最短の道であることを小沢氏らは確信されるでしょう。 また、ドイツでは、大飯の再稼働にもかかわらず、日本がドイツを追い越してもっと早期に脱原発を実現するのではないかとの見通しもあることを皆さんに伝えておきました。知日派のドイツ人は日本人には思いがけない能力があることもよく知っているのです。 日本の皆さん、白ネコでも黒ネコでも脱原発法を支持するネコは日本を救う良いネコです。近いうちに、おそくとも来春あたりには総選挙があるでしょう。市民の力で政治家たちに脱原発基本法という鈴をつけて回りましょう。国会議員の過半数が鈴をつけるか否かに日本社会の将来はかかっています。

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