2012年10月5日金曜日
「原発作業員が語る福島第一原発のその後」 10月5日【内容起こし】原発作業員-その後:「宿代・食事代が出なくなった」「東電にしたら俺らは『使い捨て』」「日当2000円減額」報道するラジオ.)
【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】
(水野氏)本日始まりました報道するラジオ、大きく二つのテーマを取り上げていきます。今日二つ目のテーマは、『原発作業員-その後』でございます。
福島第一原発の事故はまだ全く収束していない状態で、実態としては、平野さん、多くの作業員の方々が過酷な環境で働き続けていはるわけですよね。
(平野氏)そうですね。
(水野氏)ただ、その様子はちっとも伝わってきません。私たちはここに引っ掛かりたいと思います。
事故から1年半経った今、福島第一原発の作業員に何が起こっているのか、上田崇順(たかゆき)アナウンサーが取材してまいりました。
上田さんこんばんは。
(上田氏)こんばんは。よろしくお願いします。
1年半経ちました春にも取材をしたんですけれども、この9月の終わりに全国から来た作業員が多く宿泊している福島第一原発から40㎞離れた福島県のいわき市を取材してきました。
東京電力によると、今でも福島第一原発で毎日3000人の人が事故収束に向けて危険な作業に携わっているということです。
(水野氏)3000人の方達。はい。
(上田氏)8月末時点で、事故のあと、2万3700人の人が福島第一原発の中に入ったということなんだそうです。
さっそくその作業員の方が泊まっている宿を訪ねてみました。こんな音がありました。
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《ビリビリビリッ(何かを破る音)》
(作業員A)これ持っていくんか・・・<苦笑>
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(上田氏)ビリビリっという音がしましたけれども、これはガムテープで段ボールをとめて梱包している様子なんですけど、作業員の方が宿から引っ越し作業をしていたんですね。
(水野氏)引っ越しですか?
(上田氏)はい。作業員の皆さんは、雇われている会社が用意した宿に泊まっています。旅館やホテルが借り上げられているんですね。遠方から来ている作業員は1泊2食付という条件で来ています。そこからバスに乗ってみんなで福島第一原発に通うという形なんですが・・・。
ところが9月の終わりに取材していますと、多くの作業員が宿泊している宿を出ようとしています。取材できた宿では、もう半分もの原発作業員が出ていってしまった・・・
(水野氏)半分もの人たちが出ていっちゃう・・・?
(上田氏)はい。そして「どうして宿舎を引き払うんですか?」というふうに聞くことができましたので、その声をお聞きください。
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(作業員B)9月になって、もう9月も入ってからですよ。結局、自分たちの所属してる会社の人からメールが来たんですよ。で、メールが
「あれ?珍しいな。電話じゃなくてメールってなんでやろ?」
って見てみたら、
『9月いっぱいで宿代がもう出なくなります。なので、帰ってきてください。』
っていうメールが来たんですよ。
「え!!」
っと思って電話しますよね。そしたら、どうやら
「元請のほうから言われたんやけど、9月いっぱいで宿代が出せなくなる。宿は全員退去してください。それでも残ってやりたいんやったら、皆さん自分たちで、福島でアパートなり部屋なりを借りて・・・やったら雇います。」
っていうことやったらしいんですよ。
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(上田氏)はい。出ていかなければならない状況になったわけですよね。
「自分たちで家を見つけるんだったら続けて仕事をしてほしい」
というようなことで・・・
(水野氏)そんなこと急に言われても・・・
(上田氏)そうなんですよ。当初の約束と当然変わってきますよね。そして皆さん「大変困る」ということなので、別の作業員の方にどうなるのか聞きました。
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(作業員C)俺はもう宿代カット、要するに衣食住・・・衣は自分のあれですから、食住がなくなっちゃったわけですよね。単純に考えて、宿代と食事代で1泊2食で5000円だとしますよね。それが30日ですから、15万ですよね。その15万っていうのが無くなったんですよ。
・・・かなりの痛手ですよ。今まで・・・貰ってた給料から食と住を引かなくちゃいけないんですから。残ったものっていうのは、本当に微々たるものじゃないですかね。
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(水野氏)15万円分自分の方でなんとかしないといけないということになりますよね。
(上田氏)そうなんです。
単身の人というのは、もともと住んでいたアパートを引き払って福島に来ているんですね。それは仕事がもともと長期になる、事故の収束には時間がかかるということを聞いてきているから、「住まないところの家賃を払うのはもったいない」と。当然、急に無いと言われたら、帰るところも無いですよね。福島で家を探すというのも難しい。
家族のある人は、宿代を出してもらえるからこそ選んだという仕事なんですよね。でないとやっぱり、家族のいる分の生活費と自分の分と二重にかかってきて暮らしていかなければいけないと。
そもそも作業員の給料って安いんです。前回の取材では、1日働いて7000円から1万2000円、3000円くらい。
(水野氏)なんでそう安いのか・・・
(上田氏)その話も取材しましたけれども、作業員の多くは東京電力から数えると5次請けとか6次請けとか7次請け。
(水野氏)下請けの構造が何次にも重なってるんですね。
(上田氏)そうなんです。そういった構造になっていて、その会社に雇われてますから、間を抜かれるわけですね。中間搾取がある。これは前回の取材で判ったことだったんですけれども、それで結局下の下の方の現場の作業員の方のところまでいくと、日当が下がってしまうんです。
調査した弁護士さんに聞くと、東京電力が元請に支払う日当は、一人当たり7万円というケースもあるんだそうですけれども、下請けは酷いと20次請けというところまで確認されているケースもありまして、93%がピンハネされるケースもあったと・・・
(水野氏)20次請け!ピンハネされてる方が93%?
(上田氏)そうです。
(水野氏)残り7%!
(上田氏)ですから、7万円というスタートでいっても、現場作業員が受け取る日当は7000円とか1万円とか、そういった額になるんですね。
ですから1か月、20日で働いても20万円とか25万円。ここから住居費、光熱費を出す、そして今度は自炊しなきゃいけないとか、そういった条件になってきますと、なかなかやっぱり大変と・・・
(水野氏)いや、それはやっていけないですよ。
(上田氏)という話なんですよね。はい。
どうしてこの宿代が急に打ち切られたのか、理由をある作業員の方に聞きました。
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(作業員D)結局、なんでそんなふうになったかっていう背景は、10月から新しく仕事の落札がスタートするっていうところやったんですけど、請け負う仕事のベースがグーンと下がったらしいんですよね。安い賃金で落とさないと、かなり安い賃金で落とさないと仕事が取れない。その安い賃金で仕事をとってしまうと、ようは一次請けのところが今まで出していた宿代とかを払う余裕がなくなるという。だから
「もう宿代払いませんから、後は2次請け、3次請けでなんとかしなさいよ」
っていうふうに丸投げしたって感じ・・・
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(上田氏)当初、事故の後は、緊急ということで指名で仕事があったということだったんです。東京電力からの指名で。ところが去年の夏ごろから国のお金で仕事をするということにもなっていきますので、入札という制度になりました。去年の夏ごろから入札が始まって1年ちょっと経ってるわけですが、この10月からの仕事の落札価格が下がったのではないかということなんですね。
自分が働いてる会社の元請が、もし入札で負けてしまったら仕事がなくなるし、安い価格で競り落とすということになると、宿代が払えないということにつながる。
東京電力に聞くと、
「入札価格については、ちょっと調査をする」
という話でした。
(水野氏)「調査をする」・・・
(上田氏)元請の会社に聞くと、
「入札は適正に行われているし、不当に低いと応札はしないです」
と話していました。
競争の原理が働いて、価格が下がってきているのかなということが考えられるわけですね。
(水野氏)平野さん、いかがですか?
(平野氏)調査すべきは私は東京電力じゃなくて、やっぱり行政ですよね。労働条件の過酷な変更っていう、いわゆる肩に重くのしかかるという意味では。
(水野氏)労働行政を問わなきゃいけない。
(平野氏)そうです。労働基準局というのが当然あるはずなので、ここがやっぱり監視の目を強めなければいけないんですが、いろいろ聞いててもそういうところが実際機能してる気配がないですよね。
やっぱり20次下請けという酷いケース。これはもう明らかに労基法違反ですよ。というのは、要するに自分の契約してる人と、雇用の雇ってる先がころころ変わってるわけだから、雇用条件が守られてないわけですよね。これはもう摘発しなければならないと私は思いますけどね。
(水野氏)そうした厳しい中で働いている方たちの眼をとおして、じゃあ福島第一原発は今どうなのか?
(上田氏)はい。1年半、凄まじい作業をしてきたわけで、今年の3月に作業員の方がどのような仕事をしてるのかを聞いたその音をもう一度聞いていただこうと思うんですけれども、どんな仕事をしてきたのか、二人の作業員の方に聞いています。
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(作業員E)建屋の人間。
「あそこに走って登っていって、あれ取ってきて」
とかそんな仕事です。
水処理。
「あそこにレバーあるやろ?走っていってあのレバー開けてきて」
とかそんなんですよ。
そういうふうにしか進められないんですよね。放射能が高いんで。みんなで入ってワーってやりましょうっていうわけにはいかないんです。漏れている、それを止めるとかってなると、無人の機械でいったりしてる。要はそれの下準備をしたりとか、後片付けをしたりっていうことなんですけど、線量が高い、仕事できる時間が20分、30分。人が要る。進まないですよね。入れ替わり入れ替わりで。ものっすごい進捗は遅いと思います。
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(上田氏)ここはお1人の方でした。失礼しました。この3月でこの話だったわけです。
そして、事故から9か月を過ぎた12月の16日に野田総理が福島第一原発の事故の収束を宣言した。この時どう感じたのかも3月に聞いています。こちらをお聞きください。
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(作業員F)なんぼ収束宣言したっていうけど、なんか収束、収束っていっても、やっぱ現場に入っとる人間からしたら、ほんまにこれ収束しとんのか・・・怪しい。来てから見とるけど、中身はなんら変わりはない。変わらん。何も変わってない。現場は周り何も変わってない。
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(作業員G)いや、何を言うてるんやろうと。何をもって収束なのかっていうのをまず聞きました。収束っていうのは、やっぱり「もう大丈夫ですよ」ってことじゃないですか。「ここから先は放射能は漏れることもないですし、あとは改善に向かって進んでいくだけですよ」っていうことでしょ?収束っていうのは。全然ですからね。
「ステップ1からステップ2になった」とか言ってますけども、何一つ変わってないですよね。今日も放射能出続けてますし、今日も何百人、何千人という作業員が被曝してますから。何にも変わってないですよ。
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(上田氏)という、これが半年前に聞いた状態だったわけですが、では今どうなのかということをお聞きいただきます。こちらです。
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(作業員H)建屋にちょっと銅板のフタしたりとかしだしてるんで、ちょっと離れた免震棟とか外であるっていうのは、多少は線量は下がってるんですけど、でも未だに建屋で仕事をする人、汚染水の仕事をする人っていうのは、最初の頃と線量全く変わってないですからね。
休憩室とかで一緒になるでしょ。仲良くなって線量計のAPDを見せてきたりするんですよ。
「15分でこれや」
ってパッと見せたら『0.5』とか出てる、15分で。『0.5ミリ』
(上田氏)ミリですか!?
(作業員H)30分働くと1ミリですよ。
(上田氏)えー!
(作業員H)
「俺、こんなんやから」
「いつまで働くんですか?」
「いや、これ1か月もたない」
(上田氏)そうですよね・・・
(作業員H)そういうとこが未だに、1か月で帰って次の人が来てって、それを繰り返してるんですよね。
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(水野氏)えぇ!この数字の意味教えてください。
(上田氏)「30分で1ミリ」という話がありました。これ、一般の人が許される被曝の上限っていうのは、1年間に1ミリ。作業員の人でも、年間20ミリシーベルトなんですね。それを一般の人が許されるのが30分でいってしまう。
(水野氏)1年分を30分でこの方達いってしまう!?
(上田氏)1日30分働いても、20日しか働けない量ということになります。
(水野氏)はぁ・・・。今もこんな状況。平野さん?
(平野氏)はい。もう本当に健康障害が気になるんですけども、気の遠くなるような作業ですよね。廃炉に向けて20年、30年。本当にこういう労働者の方を確保できるのかなと、これだけね、健康障害心配される。もう大量の人々が要るわけですよ。ここらへんの目途は全然たってないと思うんですよね。
(水野氏)これだけ厳しい環境に相変わらずある、その中で働いてはるのに、労働条件だけは悪くなっていってるって、ねぇ・・・。
(上田氏)はい。そして次なんですが、不当な扱い。今「宿代が無くなる」「食事代が無くなる」っていう話をご紹介しましたけれども、4月から見てますと、更に他にもこんなことがということが起こってましたので、その作業員の方の声をお聞きください。
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(作業員I)いつごろやったかな。4月・・・ころかな。2000円・・・やっぱ痛いですよね。月にしたらね、ほんとにね。だからうちら下請けのその下に入ってるでしょ?だから、強く言えないんですよね、やっぱね。上からの命令だから。しょうがないですよね。
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(作業員J)6月いっぱいですね。「7月頭から下がります」っていうことやったんですけど。
(上田氏)それはいくらくらい?
(作業員J)まぁ、自分らの会社で2000円。1日2000円っていうことです。
(上田氏)1日2000円。それは一方的に下げますって言ってきた?
(作業員J)そう。それも7月から下がりますっていうのを7月入ってから言われたんですよ。もう全員そうです。一律、ようは東電から支払われている金額が下がったっていうことですよね。
(上田氏)もともと大元から出るお金が減ってしまってると?
(作業員J)そうです。結局は下がったもんで、1次請け・2次請けってあるんですけど、いいところは、良い会社は1次請け・2次請けが被ってくれて、作業員にまでいかないところもあったんですけど、少ないんですけどね。
ほとんどのところは下げられた分は作業員が負担するっていう感じで。下げられたって話ですね。
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(上田氏)春からの間で、皆さん日当を2000円下げられているという状況なんですね。作業員の方に聞くと、
「線量が大きく下がったとか、燃料棒が片付いたとか、そういうんなら日当が下がるっていうのもわかるかもしれない。危険性が変わらないのに賃下げになるっていうのは、ちょっと納得がいかない」
というふうに皆さん怒ってました。
(水野氏)なんで今そうなるのか・・・。
(上田氏)はい。地元で話を聞いてると、
「やっぱり東京電力が苦しいのではないか。そこからまず出るお金が減ってしまっていて、それが賃金に反映してるんじゃないか」
っていう声が多く聞かれました。
(水野氏)でも、作業してらっしゃる方にしたら、もうやりきれないでしょうね。
(上田氏)やはり「使命感を感じて福島に来てる」という方が非常に多いので、大変なお気持ちだということが判ります。その作業員の方の声をお聞きください。
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(作業員K)東電もね、やっぱり・・・なんて言うのかなぁ・・・。けっこう『使い捨て』みたいな感じで考えてるなと思う。・・・そうね。『使い捨て』だもんね。
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(作業員L)今は確かにたくさんあるところはありますよ、だから。値上げはする。電気料金値上げはするわ、ボーナスは出るわ。で、俺らはって言ったら、宿代は下げられるわ、食費は無くなるわ。
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(作業員M)いや、もう単純に怒りを感じますよね。一番しんどいときに来たわけじゃないですか。それも「長いことやってもらうから」ってことで、上がることはあっても下がることはないと思ってたんで。
「期間長いこと働いてくれてたら、当然貴重な戦力になってくるんで、給料は上がっていきます」
っていう話やったもんですから。それで来たもんで、いきなり「下げますよ」って話になって、全く真逆の減少が起こったわけじゃないですか。だから、正直ちょっと、本当に・・・どういうつもりやと思いますけどね。その下の人間の都合とか全く考えてない。行き当たりばったりじゃないですかね。
本当にこんなことで、本当にちゃんと直る、収束できるのかなとか、先に進むのかなって思うんですよ。
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(上田氏)急に言われたこともあって、次の仕事も無いですし、住むところも見つからないし、そして東京電力のこの待遇って一体どうなんだろう?と皆さん疑問に思ってらっしゃるということなんです。
最後になりますが、この1年半、原発の作業員を見てきたというのは福島県の皆さんなんですね。地元の宿の方だったり、お店の方だったりするわけなんですが、そういった原発の作業員の方に直接接してきた人の話も聞いてきましたので、その方のお話をお聞きいただくんですが、2分半ほど、ちょっと長いんですけど、お二人のお店をやってらっしゃる方、続けてお二人の声をお聞きください。
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(女性A)馴染みのお客さんがやっぱり去っていくっていうのは寂しいですよ。ほんっとによくやってくださったと思いますし、?????。知らない土地に来てね。だから、電話でお子さんとか奥さんからかかってきて、お話してる顔なんか、本当に嬉しそうだしね。本当に早く原発のほう直って、早く自宅に戻してあげたいなって思いましたね。
中にはもう、
「福島県のために、子供たちのために頑張んなきゃなんない。おいらがやらなきゃ誰がやるんだ」
っていう、すごい強い気持ちで来てる方いらっしゃるんで、びっくりしましたね。
「妻には止められたんだけど、福島救わなきゃならないから。『小さな子供どうすんだ』って言って、そして納得してもらって来たんだ」
っていう方も何人かいました。ありがたいことですよ。
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(女性B)でもだんだん東電の体質が変わってきたっていうか、そんなにやりきれなくなってきてるんだろうけど、作業員の人たちもお金はそんなに貰ってないだろうし、被曝するだけ損する感じだから、変えるのも仕方がないと思う。
だけど、やっぱり福島県民だったら、あそこを片づけてもらわなくちゃいけないんだから、未だに誰も見に行けないわけでしょ、燃料棒のあるところ。それなのに収束なんかしてないのに、収束してるっていう・・・『福島を元気に』なんて、元気だよ。そりゃここで暮らす人は覚悟をもって生きてんだから、元気に暮らしてるよ。
だけど、それはね・・・、毎日元気無くは暮らせないのよ、人は笑わなくちゃいけないし、食べなきゃいけないし。だからみんなそれぞれ元気で生きてるけど、決して収束とか安全でも安心でもないだろうし、外に向かって「安全だから」「安心だから来てください」って言ったところで、自分たちだって地元の不安をいつも持ってるわけなんだしさ。
・・・人が居なくなるのは大変っちゃ大変だけど、しょうがないとも思うけど・・・でも東電も国も、もっと考えてやんなきゃいけないことなのかなとも思うけどね。
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(上田氏)「作業員の方にはもう少し手厚くしてほしい」と???てらっしゃったというのが今の方でした。
原発について考えるとき、なかなか作業員の話は出てこないので、
(水野氏)そうなんですよ。ほとんど今や出てこないんですよ。
(上田氏)こういう状況で働いてる方に支えられているということを、どこか考えていただきたいと。
(水野氏)今も支えられてるし、これからもずーっと支えられる以外にはもう無いんですよね。道がね、日本にはね。或いは世界にはね。
・・・しかしながら、「私ら『使い捨て』ですわ」という作業員の方の声は、私は忘れられないですね。
(上田氏)ちょっとあまりにも待遇が悪くなっていきすぎるので、本当に僕も聞いていて、どうしていいんだろうと・・・。中には
「これをあなたに話して、僕らはなんとかなるんですか!?」
と。
(水野氏)あぁ。上田さんに「今しゃべるけど、それがどないなんねん!」ってものすごく絶望してらっしゃる想いなわけですね。
(上田氏)はい。
(水野氏)今まで下請け構造の中で声を挙げられなかった、今も挙げられない、で、上田さんにやっとの思いでしゃべってくださってると思うんですけども、その声をなんとかこうやって報道するラジオで皆さんにお伝えすることができました。
ただこれがサーっと流れていくだけだと、それこそ作業員の方は「それはどないなってん!」って余計絶望なさるかもしれません。
(上田氏)できるだけ多くの方に考えていただきたいです。
(水野氏)聞いていただいた方がどう受け止めてくださるか、そして何をこれからどうするべきかって、考えていただかないことには・・・これ出口が見えないんですね。
はぁ・・・。
平野さん、ほんっとうに過酷な状況の中でみなさんがいるということをお伝えしました。
(平野氏)そうですね。7日にね、首相が原発に行く予定なんですね、確か。こういう現象を本当に見る気があるのかどうか、本当にセレモニーで終わってサッと帰ったんでは、何もこの方々の助けにもならないし、行く意味もないわけですよね。
(水野氏)そこは厳しく、私たちは見なきゃいけないですし。上田さん、ずっと続けて取材するってことの意味を今日私は教えられたような気がしますので、また報告を待っております。
上田崇順(たかゆき)アナウンサーでした。
* * *
(水野氏)今日から始まりました報道するラジオ、平野さん、この原発のことについてですね、皆さんがいろいろと感想を送ってきてくださいました。
ご紹介します。
『福島の原発で働く人たちの賃金や待遇がどんどん悪くなっていくなんて、本当におかしなことですね。この方達が頑張ってくれていることを忘れてはいけないし、なんとかならないかという思いです。震災の予算がほかに使われている現実があるなら、ここに使ってよと。お金の使い方はどうなってるんだ?』
というお話ですね。
平野さん、どう感じますか?
(平野氏)そうですね。上田さんのリポート、『足で書く』という言葉がありますけど、ほんとうによく取材されて地道な作業の連続だったんですけど、今日のテーマであるジャーナリズムということの中に、『真実は細部に宿る』という言葉があるんですけど・・・
(水野氏)『真実は細部(小さなところ、細かなところ)に宿る』
(平野氏)『現場には伝えるべき真実の断片がある』とも言われてね、それを寄せ集めるのが僕らの記者の仕事である。
(水野氏)『真実の断片』ですよね。
(平野氏)今日水島さんもずっと現場、現場っていうのにこだわって言われたんですけど、やはり現場に真実・・・に近いものがあって、それを全体像として我々がいかにして指し示すことができるかってことが、まさに問われてると思うんですよね。
お二人ともそれを本当、まさに実践された上田さんも水島さんも。我々にこういう現実を示してくれるという意味で、今日は非常に意義のあるお話を聞けたなと思いますね。
復興予算が別のところに使われているというのはまさにその通りで、沖縄のなんか公共事業に使われたり、有り得ない、福島以外のところに使われているというニュースが最近流れてきています。本当に政治はどうなっているんだろうと、既得権益の擁護ばっかりに収れんしていって、もうこの事故の過酷さを忘れたのではないかと思わせるくらいです。
(水野氏)忘れてませんよ、ほんまにみんな。だけど忘れたかのように振る舞う政治家がいると、だんだんそっちに流れちゃうという危険性って、本当にはらんでると思うんですね。
リスナーの方は、
『想像してましたけど、現場は何も進んでないということがよくわかりました。なんで元請だけが潤って下請けにしわ寄せが来るんですか?』
その恐ろしさは情報が外に出てこないということにも繋がってると思いますね。
今日から始まりました報道するラジオ。来週の金曜日は夜9時からお送りする予定です。平野さんありがとうございました。
【以上】
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