2012年8月24日金曜日

反原連と野田佳彦との8/22面会 - 仲介者は辻元清美 http://critic5.exblog.jp/18877190/ 一昨夜(8/22)のテレビのニュースは、反原連と野田佳彦との官邸面会が中心だった。また、政府が新しいエネルギー政策を決めるために実施した「討論型世論調査」の結果や、大江健三郎らの「脱原発基本法」制定をめざす全国組織の設立など、原発関連の問題の報道で埋まった。尖閣や竹島の話題が、一時的にせよマスコミの表面から後退したことは幸いだ。野田政権は、選挙目当ての人気取りの思惑で、反原連との面会を大きな「慶事」としてマスコミに報道させる政治に動き、前日(8/21)からNHKを通じて予告宣伝、当日(8/22)はNHKの7時のニュースのトップに持ってきた。野田政権が従来の方針を変え、「原発ゼロ」の方向へ踏み込んだ姿勢を国民に印象づけ、目前に迫った選挙で原発政策が争点になったときに、民主党を有利に差別化すべく目論んだ政治と言える。この動きを主導しているのは菅直人で、9月の代表選に向けて、原発問題をテコにして党内で浮上しようとする狙いが見える。昨日(8/23)の朝日も、1面トップに「討論型世論調査」で「原発0%」の支持が最多だった結果の記事を出し、その横に反原連と野田佳彦との面会の記事と写真を配している。朝日の2面の記事には、政府が将来の原発比率として策定を目指した本命の「15%」が、パブコメを含めた世論によって撃退され、見直しを余儀なくされた事情が詳しく書かれている。 昨日(8/23)の朝日の1面記事となった面会の写真には、反原連側と政権側が左右に向かい合ったテーブルの正面奧に、すなわち構図の中央に、辻元清美が立っているのが映っている。私が見たNHKとテレ朝のニュースには、辻元清美の姿はなかった。どうやら他局の報道では、14時前に議員会館から官邸に入る反原連の一団を先導して、辻元清美が歩いている姿が撮られていたらしい。朝日の写真の構図は、この面会の政治の一つの真実を証左している。Misao Redwolfが面会後の会見で、この面会を仲介した一人の人物の存在を言い、その者の仲介の首尾の結果、反原連側の要求が通って、面会の始終がネットで生中継されるようになったと漏らしていた。官邸と反原連を仲介した人物の名をRedwolfは言わなかったが、ズバリ、辻元清美だ。反原連側が辻元清美、官邸側が首相補佐官の手塚仁雄。この二人が舞台裏を根回ししている。そのため、まるで7/31の政治家との対話集会の延長のように、菅直人と小熊英二が席に着いていた。今回の面会は、まさに菅直人・辻元清美・小熊英二がホストとなって仕掛けた政治だ。反原連側に小熊英二が座っていた理由について、反原連は会見で説明していないし、質問して聴こうとする記者もいなかった。小熊英二は反原連のメンバーではない。メンバーではないから、中立の立場で7/31の対話集会の司会もやった。 反原連のメンバーではない者が、抗議団体の代表の一員として総理大臣との面会の席に座ってよいのか。政府は、そうした者との面会を官邸で設定してよいのか。これは総理大臣の公務で、運営はすべて税金でなされている。7/31の対話で、平岡秀夫が言っていた反原連の団体としての形式的妥当性の問題が、今後も説明を求められ続けるに違いない。菅直人・辻元清美・小熊英二による政治策動の怪しい正体は、早速、一日後の規制委人事の政治に現れていて、民主党は人事案を国会で通すことを政調役員会で決め、前原誠司の一任となっている。菅直人は規制委人事案に反対していない。この8/22の面会の政治がいかに茶番で、見せかけだけの人気取りのショーであり、「デモの皆さんにお会いしてお話を伺いました」という既成事実作りのものだったかが分かる。NHKの報道が、こうして「官邸前デモの代表」を民衆のヒーローのように扱ったことで、官邸前デモの市民権はさらに確たるものになり、同時に反原連のアウェアネスとプリファレンスも一気に上がる事態となった。4年前の派遣村と反貧困のように、今後、反原連幹部(特にRedwolf)に対するマスコミからのアプローチが続く展開になるだろう。マスのレベルで反原連(Redwolf)に関心が高まり、それを扱った情報が商品として市場で売れるからだ。が、そのことが、官邸前デモの動員数を増やす結果に繋がるかどうかは不明だ。 反原連と同じスタイル、すなわちシングルイシュー主義のデモを全国に拡散する方向に導くかどうかも分からない。面会後の1時間の記者会見は、私にとっては30分間の面会以上に注目すべき内容に満ちていた。反原連の「シングルイシュー」の思想的中身と内部での緊張が吐露されていて、いろいろと考察するヒントが与えられたように思われる。記者の質問は、これからこの運動をどう政治に繋げていくか、という角度のものが多かった。それは、このデモを見ている多くの国民の関心事である。どれほどデモをやっても、政治が反原発の政策方向に転換しなければ意味がないし、今のところ、政治がデモに影響を受けている徴候はまるで見られない。その点を反原連がどう考え、どのような展望を持っているのかという点に質問が集中した。その回答は、Redwolfと原田裕史の間で少しニュアンスが違っていた。「政治を変える必要性」についての認識とスタンスに温度差があったように感じられる。極端に言えば、原田裕史の見解は、そうした期待が反原連に集まることを拒否する姿勢を示している。自分たちは「シングルイシューで」同じデモをするだけという限定で自己完結していて、そこから先に運動を発展させようという契機がない。Redwolfも結論は同じだが、原田裕史に較べれば、そこにジレンマを持っている口振りだった。つまり、極端に言えば、デモだけやっても政治を動かせなければ意味がないという焦燥感に近い。 反原連が国民の期待に応えて政治変革の力になる必要への回路を残している。原田裕史はたんぽぽ舎の人間で、おそらく反原発運動のキャリアが長く、これまでの挫折や失望の積み重ねの上での一種の諦観があるのだろう。原田裕史にとっては、「シングルイシュー」の反原発デモが続いている今の現状が成功なのだ。長い間、このスタイルのデモを考えてきて、それがようやく実を結んでいるのである。そこから踏み出すという発想にはならない。割り切っている。政治との断絶の意識が強く、ある種のシニシズムを漂わせている。

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