2013年3月20日水曜日

山下俊一氏らによる原発事故後の子どもの甲状腺結節のがん化についての追跡調査に対する見解: 松崎道幸. http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/130320Matsuzaki-report.pdf 北海道の松崎道幸医師より: 「昨年山下チームの発表した論文の解説と私の見解をまとめました。 原発事故後のこどもの甲状腺結節がどれほどがん化するかについての追跡調査です。 福島の事態を解釈するうえで参考になると考えました。」 (甲状腺結節の予後についての論文解説と見解.) http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/130320Matsuzaki-report.pdf 福島の小児甲状腺がんの発生率はチェルノブイリと同じかそれ以上である可能性: 福島県県民健康管理調査結果に対する見解(2013年2月16日) 福島県甲状腺検査、35%が「5ミリ以下の結節、20ミリ以下の嚢胞」-ゴメリ以上の甲状腺異常の可能性 (2012年4月28日) 甲状腺結節の予後についての論文解説と見解. 1. 原発事故後のこどもの甲状腺結節が将来どれほどがんになるかを検討した 論文が2012年に山下チームから発表されました。 2. 福島中通より土壌汚染の少ないジトミル地区での調査です。 3. 事故の5~14年後に甲状腺結節ありと診断されたこどもでは、事故の24年後に40人に1人が甲状腺がんと診断されました。疑い例もほぼ同数みつかりました。 4.事故の1年後までに福島では約8万人のこどもから770人の結節が見つかっています。 5.現時点での結節の有り無しにかかわらず、長期間、定期的な甲状腺検診をしっかり行う必要があります. 松崎道幸 matsuzak@maple.ocn.ne.jp (北海道反核医師歯科医師の会・医学博士) 2013年3月20日. 言葉の意味. 結節=細胞のかたまり(良性あるいは悪性) のう胞=液体の入った袋両方の成分があるとき⇒「結節」と判定. ~ 7年目に甲状腺超音波検査を行った結果、ジトミル地域では 1万1千人に1人甲状腺がんが発見されています。 【出典】 ItoM, Yamashita S et al. Childhood thyroid diseases around Chernobyl evaluated by ultrasound examination and fine needle aspiration cytology. Thyroid. 1995 Oct;5(5):365-8. 【背景まとめ】ジトミル地域. 1.土壌汚染度は福島中通より少ない。 2.事故時10歳以下だったこどもに事故の5~7年後に超音波検査を行 うと, 3.1万1千人から1人甲状腺がんが見つかった地域。 【本題】この調査の目的. 1.事故の4~14年後に甲状腺結節を持っていた子供が24年後にどうなっているか(がん化率など) 2.事故の4~14年後に甲状腺結節を持っていなかったこどもが事故の24年後にどうなっているか(結節出現、がん化率など) 1.1991~2000年期に結節が発見されたこどもに対して、2009~2010年に電話あるいは通院先のクリニックで再検査要請。承諾者が160名になるまで要請継続。 2.結節なし群から、前記の結節あり群と性、年齢、居住地域をマッチさせて同様に再検査要請。 3.再検査は超音波検査と結節の穿刺細胞診。 4.事故時からジトミル地域に居住を続けている者を再検査対象とした。 結果(1) 結節なし群は10年後も結節なしのままだった (被ばくの4~14年後の時点で甲状腺結節なしなら、その10年後も結節なしだった) 結果(2) 結節あり群では、結節は大きくなり、数が増えた. 結果(3) 1.)160名の結節あり群から4名(2.5%)甲状腺がん発生。 2).疑い例5名を合わせると5.6%にがんかその疑い. まとめ. チェルノブイリ原発事故で被ばくした子どもの甲状腺結節(のう胞でなくしこり)を追跡すると, •事故の24年後に、結節のあるこどもの •2.5%が甲状腺がんとなった。 •がんの疑いの残る者も同率にあり. 結節あり群は結節なし群に比べて有意に甲状腺がんが多く発生していた(事故の24年後までの追跡) 結節なし群と結節あり群の甲状腺がん+疑い例が多く発生していた(事故の24年後までの追跡) 原発事故1年後の福島の子どもの甲状腺結節の頻度.770名/79404名.(2012年現在) 甲状腺検査の実施状況(平成24年度)及び検査結果(平成23年度・24年度)について. http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240911siryou2.pdf 松崎考察. •原発事故から10年の時点で甲状腺に結節がある場合、その10~15年後に20人から40人に1人が甲状腺がんとなる可能性があるかもしれない. •この調査は、検診前に甲状腺がんを発症したこどもを除外していることに留意が必要。 この調査結果を福島のこどもに当てはめると 1.事故の5~14年後の時点で、甲状腺に結節がある場合、その10~15年後2.5%が甲状腺がんを発症し、同数が疑いありの状態となる可能性。 2.現時点(2013年)で甲状腺に結節のあるこどもさんでは、甲状腺検診をしっかり行うことが大事。 3.現時点(2013年)で甲状腺に結節のないこどもさんも、結節が発生しないかどうかしっかり検診を行うことが大事. 以上. .

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