2012年4月17日火曜日

http://gendai.net/articles/view/syakai/136178 (元検事が衝撃告白 私はこうして冤罪をつくりました) 「私はこうして冤罪をつくりました」――。衝撃的な本が出版され、話題になっている。01年の「佐賀市農協背任事件」で、被疑者を取り調べ中に「殺す」などと発言したことを自ら法廷で証言し、“冤罪加害者”となった元検事の市川寛弁護士(46)の著書「検事失格」(毎日新聞社)だ。今月26日に判決が出る「小沢裁判」でも、地検特捜部のデタラメが明らかになっているが、特捜検事はなぜ“暴走”するのか。冤罪を生み出す検察組織の問題点を市川弁護士が語った。 「検察問題の背景には、過去の2つの成功体験があると思います。ロッキード事件とリクルート事件で、大物政治家を逮捕し、『巨悪と戦う』という特捜神話が生まれるきっかけになりました。しかし、この大金星を挙げたが故、特捜部は国会議員や一流企業といった社会的地位のある人を摘発するために存在するのだ ――と自己目的化してしまった。特捜部長などの幹部になると『任期2年の間に打ち上げ花火を上げなければ』とプレッシャーを感じ、ムリをし始めるのだと思います」 「佐賀市農協背任事件」も、きっかけは当時の佐賀地検幹部が議員逮捕という金星を狙った勇み足が原因だった。三席検事(当時)だった市川弁護士は事件の詳細を把握しないまま主任に指名され、揚げ句、自分が「不起訴」と判断していた被疑者の起訴状にサインも迫られた。それが市川弁護士が違法な取り調べに手を染める結果につながった。 「検察は調書を取る教育はしますが、取り調べの教育はしません。ロッキード事件で誰々の供述を取った、という検事がその後、検事正や検事長、総長になり、当時の捜査手法や取り調べのノウハウが全国に受け継がれていったのですが、伝わるのは、取り調べ中に『机の下から(被疑者を)蹴った』『千枚通しを突きつけて罵倒した』という内容。当時はうまくいったのかもしれませんが、今はそんな取り調べは絶対にできません。世の中が変わっているのに、幹部は気付いていないのです。相談しても『君の力が足りない』と言い、とにかく『割れ(自白させろ)』『立てろ(起訴しろ)』です。つまらないことで、すぐに『バカヤロー』と怒るから、部下は次第に何も報告しなくなります。証拠改ざん事件で逮捕、起訴された前田元検事も、正直に報告できる雰囲気が特捜部になかったのではないかと思います」 <「小沢裁判は間違いなく無罪です」> 「小沢裁判」でも、石川知裕衆院議員(38)を取り調べた田代政弘検事(45)が捜査報告書を捏造していた。市川弁護士と田代検事は元同僚だ。 「田代検事とは横浜地検小田原支部で2年間一緒でした。優秀な検事だったから、今回の件はとても驚いています。録音テープを起こした反訳書を読みましたが、とても彼の取り調べとは思えない。彼は冷静に淡々とやりとりするのに、石川氏を懸命になだめすかしているからです。任意聴取なのだから、供述を得るのが難しければ日を改めればいいのに、4、5時間も続けている。通常は考えられません。これは想像ですが、おそらく彼は石川氏の聴取を当日まで知らなかったのでしょう。上司から突然、『この線で聴取を取れ』『1日で仕留めろ』と迫られたのではないかと思います」  小沢裁判については、こう見ている。 「検察が2度も不起訴にし、それも“起訴猶予”ではなく、“嫌疑不十分”なのだから証拠が足りない。その少ない証拠は裁判で却下されてもっと少なくなった。判決の理想は公訴棄却ですが、無罪は間違いないとみています。もし有罪なら今後の刑事裁判は成り立ちません」

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