2012年9月3日月曜日
IPPNW国際的医師団の勧告.
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(福島の原発事故後の人々の健康を守るために)
2012年8月29日
福島/東京 「福島の惨事で被害をうけた人々に対して私たちが負っているもっとも重要
な義務は、核兵器を廃絶し原子力から脱却することである」と、核戦争防止国際医師会議
(IPPNW)共同代表のティルマン・ラフ准教授は福島県内の視察後に述べた。米国、
カナダ、英国、ドイツ、フィンランド、イスラエル、インド、ニュージーランド、オース
トラリアからの計30名の医師、医学生、学者らは8月28日に福島県内を視察した。
この視察は日本の「核戦争に反対する医師の会」が受け入れたものである。諸外国からの
専門家たちは、福島の原発事故の状況を深い憂慮をもってフォローしてきた。この数日間、
これらの専門家らは、広島における第20回IPPNW世界大会および8月27日に東京
で開催された国際シンポジウムにおいて、日本の放射線、医学、原子力工学の専門家らか
ら話を聞いてきた。
原子炉と核兵器の根本的な過程は同じである。1998年、IPPNWは、医学上の根拠
により、原子力からの脱却が必要であるという最初の明確な立場をとった。原子力は、そ
のすべての段階において健康に対して許容しがたい害をもたらし、破滅的な放射線の放出
の危険性をもち、核兵器に利用可能な濃縮ウランやプルトニウムの生産と密接不可分につ
ながっており、世界の人々の健康に対する最も深刻な脅威である。
これらの専門家団は、福島の原発事故により現在進行している惨事の中で、人々の健康と
安全を第一優先とする行動をとるために、以下の主要な勧告を行った。
• 汚染された地域に住んでいる人々は、彼らがどのくらいの放射線被ばくを受けるで
あろうかということに関する完全な情報にアクセスできる必要があり、放射線被ば
くをあらゆる可能な形で最小化するための支援を受けるべきである。年間被ばく線
量が5ミリシーベルトを超えることが予想される人々については、とくに子どもや
子どもを出産できる年齢の女性の場合には1ミリシーベルトを超えることが予想さ
れるときには、彼らが移住を選択する場合に健康ケア、住居、雇用、教育支援およ
び補償が公正かつ一貫した形で受けられるようにしなければならない。最近成立し
た「原発事故子ども・被災者支援法」は、正しい方向に向けた重要な一歩であり、
実現可能な早期に効果的に実施されなければならない。これらのすべての措置は、
原発からの距離ではなく、実際の放射線被ばくレベルに応じてとられなければなら
ない。被ばくを年間1ミリシーベルト以下に減らすためのあらゆる努力を可能な限
り早く行わなければならない。
• 福島の原発事故によりあらゆる形で1ミリシーベルトを超える被ばくをしたであろ
う人々全員の包括的な登録制度を早期に確立することが必要である。その中には、
福島県に隣接する県の人々も含まれるべきある。この登録には、事故後の放射線被
ばくに関する最善の評価が組み合わさるべきであり、死亡率、ガン、先天性形成異
常、妊娠・出産状況との関係に関する全国的なデータとの関係に関するベースとし
て活用されるべきである。
• 専門家らは、地震発生以後福島第一原発で働いている2万人を超える労働者たちの、
また、破損した原子炉ならびに使用済み燃料プールを廃棄していくために今後何十
年にもわたってそこで働かなければならないであろうさらに多くの労働者たちの健
康状況に対して憂慮している。労働者を保護する措置が不十分であったり、被ばく
線量計が偽装され低線量を示したりといった報道があることを、専門家らは問題視
している。原子力産業に従事するすべての労働者のための生涯にわたる放射線被ば
く登録管理制度が早期に確立されなければならない。
• 権威ある専門家や学校教材を通じて、放射線の危険性を軽視するような誤った情報
が流布されてきたことは遺憾である。「原子力ムラ」の腐敗した影響力が広がって
いる。放射線の健康影響に関する正確で独立した情報をタイムリーに公開していく
ことがきわめて重要である。
核爆発や原子炉事故による破滅的な影響に対して、効果的な処置法は存在しない。制御不
能な状態は防がなければならないのであるから、安全で持続可能な世界のためには、核兵
器も原子力もなくさなければならないことは明白である。
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