2012年9月8日土曜日

2012年09月07日(金) 【18カ月目の福島は今】依然として高線量地点が点在する福島市東浜町) http://ameblo.jp/rain37/entry-11347400716.html 福島競馬場の裏手、阿武隈川が流れる福島市東浜町は、原発事故から1年半が経過しても依然として放射線量が高い住宅街。売りに出された空き地の中心で1.0μSVを超すのは珍しくなく、側溝になると2μSVを上回る。河川敷では3μSVに達しそうな勢い。人口28万4000人のうち避難者は1万人にとどまっている福島市。東浜町の現状は、放射線量の低減・被曝回避が決して着実に進んでいるわけではない実態を浮かび上がらせる 【バス運転手の懸念と悔恨】  半年ぶりに訪れた福島交通の本社(福島市東浜町7-8)。路線バスや高速バスがずらりと並ぶ広大な駐車場の一角にある側溝は、3月に訪れた際に10μSVに達した。今回、その一部から敷地外の側溝に水が染み出している個所があった。線量計が激しく反応する。近づけると数値は一気に上昇し、11μSVを超す。放射線量の低減は本当に進んでいるのか。モニタリングポストの数値からは浮かび上がらない汚染の実態がここにある。  「ああ、あの辺りね。山が近いし下水処理場もあるから、除染をやってもやってもね…」  バスの運転手が、タバコを吸いながらため息をつく。  原発事故以降、東浜町はずっと空間放射線量の高い状態が続いている。同社から100mほど離れた歩道では、側溝のフタの上に立つだけで、線量計の数値が2μSVを超えた。高線量地域に出勤する運転手たち。同僚には女性運転手もいる。年下の若い男性もいる。健康への影響が気になるが、どうすることもできない。  この運転手にも、小学生以下、3人の息子・娘がいる。  「もちろん、気を付けていますよ。なるべく線量の低い所で遊ばせるとか、あまり長い時間屋外で遊ばせないとか。何がどうなるか分からないのですから。食べ物に関しては、全国の食べ物を測って欲しいですね。ただ福島産だけを測っても比較ができない。自然放射線もあるわけで。どの数値を信じたら良いのか分からなくなる時もあります」  春、花見山が色とりどりの花で染まった。運転手はシャトルバスの運行に携わった。まるで、そのことを懺悔するかのようにつぶやいた。  「線量の高いあぶくま親水公園から、線量の高い花見山までお客さんを運んでいたんですからね。何やってんだか…」  同社は原発事故から4カ月後の昨年7月、社員総出で敷地内の除染作業を行った。その後、除染作業を実施したか否かについて同社総務部は「担当者が席を外しており分からない」と答えるにとどまった。 (福島交通本社の側溝は、依然として11μSVを超す。) (付近の側溝でも2μSV超。着実に下がっているのはモニタリングポストの数値だけ) 【】  コスモスの可憐な花が咲き始めている阿武隈川の河川敷では、市シルバー人材センターの男女が炎天下で大汗をかきながら草刈り作業をしていた。  「何か調べものですか?」  作業中の男性がこちらを見て声をかける。手元の線量計はずっと1.3-1.4μSVを表示したまま。それを伝えると「そうですか…。相変わらず高いですね」を苦笑した。その傍らでは、刈り取った草がごみ袋に詰め込まれ、トラックで運ばれている。荷台からあふれんばかりの量の汚染雑草。線量計を近づけると、当然ながら2μSV近くに達する。汚染された雑草は、通常の「可燃ごみ」として廃棄物焼却場で燃やされる。悪意はないのだろが、〝燃やして拡散〟が今日も続けられているのだ。  ここには、福島競馬場を営む日本中央競馬会(JRA)が提供したテニスコートがある。コートに立つと、線量計は2.6μSVを上回った。ここでテニスに興じる人は、さすがにいないが、河川敷は全面的に立ち入り禁止にするべきだ。高線量スポットが立ち入り自由になっているのが現実なのだ。  土手の上の遊歩道では、高校生が部活でランニングをしている。「放射線による被曝が気にならないか」などという質問はもはや愚問でしかない。尋ねたところで「気にしていない」と答えるか「気にはなるが、ここで生活している以上、しかたがない」と答えるかのどちらかだ。だから、大人が線量の低い場所を選んでそちらに誘導してあげなければいけない。教師がそれを実践していないことがよく分かる。  東浜町の一角に、しばらく前から売りに出されている更地がある。中央に立つと手元の線量計は1.0μSVを超す。この土地を購入する人に、不動産会社は放射線量を伝えるのだろうか。除染は誰の責任で行うのだろうか。  行政は「放射線量は着実に下がっている」と懸命に喧伝する。しかし、これが福島市の現実。子どもたちの被曝は現在進行形だ。

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