2012年7月31日火曜日

(再稼働反対叫び国会包囲 民主党議員に「帰れコール」) http://tanakaryusaku.jp/2012/07/0004798 「民主党が再稼働させたんでないの!」。川内博史衆院議員に詰め寄る福島県富岡町出身の女性。  「政党も労働組合も関係ない。若い人の怒りが国会を包囲した。これは事件だ」。夕闇迫る午後7時から始まった「原発再稼働への抗議集会」は、ルポライターの鎌田慧さんの挨拶で幕が開いた。鎌田さんの肩越しに国会議事堂のシルエットが浮かぶ。  金曜恒例となった首相官邸前での集会を主催している「首都圏反原発連合」が29日夕、原発再稼働に抗議して国会議事堂を包囲する集会を開いた。  民主党の首藤信彦衆院議員(神奈川7区)がスピーチを始めたが、怒号が飛んだ。「原発推進の政党が何を言うか」。  福島県富岡町出身の女性が追討ちをかける。「選挙の時だけイイこと言ってんじゃないよ」。怒号は「帰れコール」となった。  民主党の「原発事故収束PT」の事務局長として、仙谷由人政調会長代行ら執行部に睨まれながらも脱原発に向けて奮闘する川内博史衆院議員でさえ、須藤議員同様に怒号の厳しい洗礼を浴びた。  双葉町から東京港区に避難した女性(60代)が「福島に帰して下さい」と、川内議員に詰め寄る一幕もあった。福島第一原発からわずか1・5キロの所に住んでいた彼女は、着のみ着のままで脱出したという。  官邸前の抗議集会は回を追うごとに参加者が増え、10~20万人を超える事も珍しくなくなった。デモ・集会には生まれてこの方、一度も参加したことがない人達も駆けつける。社会現象にまでなった。国民の声に耳を傾けない民主党政権に対して人々が直接行動に出たのである。  金曜集会の拡大版である「国会包囲集会」で、民主党議員に怒号が飛んだのは当然の結果と言えよう。 夜の帳が降りるとキャンドルに火が灯された。原子力と比べると、かぼそい炎が人の吐く息に揺れた。=写真:諏訪撮影= 夜の帳が降りるとキャンドルに火が灯された。原子力と比べると、かぼそい炎が人の吐く息に揺れた。=写真:諏訪撮影=  福島の事故原因が究明されていないにもかかわらず、原発を再稼働させた野田政権に対する怒りは、時空を超えて人々を吸い寄せる。  長野県松本市からマイクロバス2台を仕立てて参加した一行もいる。年金生活者の男性(60代)は「物凄い怒りを持って国会を包囲しに来た。原発を止めてこそ本当の民主主義」と話す。  ドイツ、オーストラリア、韓国などからは、緑の党の国会議員が遠路はるばる駆け付けた。ドイツのメルケル政権は、福島の事故を機に脱原発に大きく舵を切ったのである。  「これだけ国民の声が大きくなっていたら、ドイツでは政治家と市民の対話が始まっている…」。『ドイツ緑の党』のベーベル・ホーエン副代表は、もどかしそうに語った。  秋田から訪れた男性(70代・年金生活者)は「60年安保の時はカネがなくて来られなかった。あの時の悔しさを今ぶつける」と晴れがましい表情だ。  60年安保闘争で国会議事堂を包囲した淵上太郎さん(69歳・当時高校生)は、『安保闘争』と『再稼働抗議』を次のように比較する―  「安保は組織動員だった。再稼働抗議は個人単位で参加している。安保は条約という小難しいテーマだったが、原発は生活と健康・命がかかっている。再稼働抗議の方が怒りのボルテージがはるかに高い」。  集会が始まり25分ほど経った頃、警察の規制線が決壊し、歩道から車道に参加者たちが溢れ出した。国会議事堂前の広い道は市民で埋め尽くされた。『人の海』である。「再稼働反対」は地響きとなって議事堂にこだました。  警察は機動隊の輸送車を二重にして議事堂正門を塞いだ。半世紀前の大事件である国会突入が、警察幹部の頭をよぎったのだろうか。  プロによる扇動があったようだが、市民の怒りのエネルギーがなければ、国権の最高機関が脅かされる事態には至らなかった。  《文・田中龍作 / 諏訪京》

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