2013年4月28日日曜日

◆ 日本植民地で、米・中・韓の利害は一致する.兵頭正俊さんから. http://m-hyodo.com/ 『朝鮮日報』の4月27日付に、朴垠柱(パク・ウンジ ュ)文化部長の「ドイツと日本の態度が違うワケ」と題 する、考えさせるコラムが載っている。それは次のよう なものだ。 「このような(日独の自国の戦争犯罪に対するき態度が 大きく違っていることを 注:兵頭)主張をする人たち は、ドイツと日本の戦後の態度の違いが「被害者の力」 によるものだと話す。人類の歴史の中で枚挙にいとまが ない虐殺事件の中で、ホロコーストだけが「最悪の犯 罪」と認識されているのは、被害者がユダヤ人だからだ というわけだ。 (中略) 残念なことだが、人類の歴史の中で、加害者からの同情 によって十分な被害の救済が行われたためしはない。国 際犯罪の被害者に対する救済は「力の論理」に基づいて 行われている。ドイツが反省を「強制」された証拠はあ ちこちに見られる。反対することのできない反省ムード が形成されることにより、ドイツは「十分に反省する 国」という評価を意図せずに得たというわけだ。 もちろん韓国も、植民地支配を清算しようという取り組 みを続けてきた。「売国奴」「親日派」という評価は、 ほかのどんな評価よりも厳しいものだ。だが、韓国が追 い求め、分析し、批判の対象とするのは主に韓国人だっ た。その中には一時的に親日行為に関与し、後に独立や 建国のために身をささげた人もいたが、容赦なく「裏切 り者」呼ばわりされ、辱めを受けてきた。 だが、韓国人の手で、侵略戦争に関与した日本の政治家 や軍人、知識人を見つけだしたり、その悪行を暴いたり したという話は最近聞いたことがない。近隣の悪党が我 が家を修羅場にしたというのに、その悪党を断罪するの ではなく、悪党と親しかった自分の家族を断罪する方に 力を入れてきた。 韓国で親日行為の清算を行うことは有意義なことだ。し かし、それが日本の責任を問うことに対する「怠惰」や 「責任の放棄」を正当化することはあってはならない。 最近の日本による「新たな加害」は、韓国のこれまでの 怠惰がもたらした産物だ」 人類史の中でホロコーストだけが特筆されて最悪の犯罪 とされるのは、被害者ユダヤ人のパワーによるという指 摘は新鮮で示唆に富む。 韓国もユダヤ人のように厳しく隣国の暴虐を追及すべき だったのに、それがもっぱら自国民の追及に向かった、 という指摘も重く考えさせられるものである。 ただ、昨今の韓国は、ユダヤ人と同じように米国を通じ て外国を、韓国の場合は日本をコントロールしようとし ているようだ。 同じ『朝鮮日報』の4月26日付が、「「日米は最も重要 な同盟ではない」 米国の微妙な変化」」と題して、次 のように述べている。 「米国オバマ政権幹部が今年初め「日米関係はもはや全 世界で最も重要な同盟関係ではない」と韓国側に語って いたことが25日までに分かった。ソウルの外交筋による と、同幹部は当時、ワシントンを訪れた韓国側関係者に 中国が浮上した北東アジアの状況を説明しながら「日米 同盟は依然として重要だが、最も重要だとはいえない」 と指摘したという。 韓国側関係者によると、米国は当時、日米関係の重要性 を認めながらも、アジアは大きく変化しており、最も重 要な国は中国だと判断していることを明かしたという。 韓米関係に詳しい消息筋は「米国は昨年12月に発足した 安倍政権の誤った歴史認識で北東アジアに大きな混乱が 起きることを懸念している」と述べた」 これまでの日米同盟の比重が変化し、日本の位置が相対 的に軽くなってきた、という見方がある。しかしこの見 方はいくつかの点で間違っている。 米国にとっては、鳩山政権のような、性急で自爆的な対 米自立政権も困るが、安倍政権のような中長期的な対米 自立につながる政権も困るのである。 日本におけるナショナリズムの高揚は、やがて対米自立 を目指し、いずれ真の独立に向かう。日本の国富をすべ て収奪するつもりの米国にとっては、それはもっとも警 戒し、防がねばならないものとしてある。 米国が許す日本のナショナリズムとは、対米隷属のナシ ョナリズムにすぎない。このことは、日本の右翼の姿を 見れば一目瞭然である。尖閣周辺の中国艦艇には腕をま くるが、米国のオスプレイに対しては思考停止である。 日本のナショナリズムを警戒し阻止するという1点にお いて、米国・中国・韓国の利害は一致するのである。 ところで、24日までに在米日本大使館を通じ、安倍晋三 の発言や閣僚の靖国神社参拝について、米国政府が日本 政府に対し非公式に懸念を伝えた。こういう場合、米国 は常に東アジア地域の平和と安定のため、という言い方 をする。もちろん米国の国益のためにならないと考えて いるのである。 結局、安倍晋三レベルの政治家では、やれることは決ま っている。対米隷属のナショナリズム、対米隷属のTPP 参加、対米隷属のエネルギー政策(原発推進による、米 国の核兵器の材料となるプルトニウム生産) 、対米隷 属の憲法改悪、対米隷属の国防軍創設である。 そのため安倍晋三は、 2015年の核不拡散条約(NP T)再検討会議に向け、スイス・ジュネーブで開かれて いる第2回準備委員会で、核兵器の非人道性を訴えて、 4月24日に発表された共同声明に署名しなかった。 共同声明は、核が使われると人道上、破滅的な結果を招 くとして、「二度と使われないことを保証する唯一の手 段は完全な(核)廃絶だ」とする内容だった。75か国が 賛同した。 これも、署名しなかった米国に隷属しただけのことであ る。 日本には安倍晋三に淡い期待を託している人たちがいる。 改憲から国防軍の創設し、核兵器を所有することで、日 米安保条約を不要にし、その結果として日本の真の独立 を勝ち取る、という遠大な構想である。 この構想のスケールは大きく、我が国から米軍が完全に 撤退すれば、ロシアが、北方領土4島を全島返還すると いうものだ。 この構想は論理的には成立するのだが、現実的にはいか がなものか。次の3点からわたしは不可能だと考えてい る。 1 これまで述べてきたように米国・中国・韓国3国の、 対日利害は共通している。それは日本に核兵器を持たせ ず、米国の核の傘の下に封じ込め、TPP参加で植民地に するというものだ。米国はその利害に最も恩恵に与るの で、日本に核兵器を持たせることはないのだと思う。 2 将来、大きな国際情勢の変化があって、日本に核兵器 を持たせることが3国の利益になるような状況が、仮に 作られたとき、日本は核兵器を持つことになろう。しか し、それが対米自立に繋がることはないだろう。対米隷 属の核兵器所有国が生まれるというだけのことだ。 3 このことが決定的なのだが、このような構想はTPP参 加に対する認識の間違いからくるもののように思われる。 TPP参加後に日本は、完全な米国の植民地になる。もは や米国のくびきから脱出して真の独立を果たすことは不 可能になるだろう。 そうならないための最後の闘いが夏の参議院選挙になる。 ここにきてようやく生活の党、社民党、みどりの風3党 の選挙協力が合意された。 『毎日新聞』の4月25日付は「選挙協力:生活の党と社民 党、みどりの風が参院選で合意」と題して、次のように 報じている。 「生活の党、社民党、みどりの風の3党の幹事長は25日、 国会内で会談し、参院選で選挙協力を行うことで合意し た。 選挙区調整を行い、互いに推薦し合うほか無所属の新人 候補を統一候補とすることも検討する。3党は脱原発や 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)反対などで方 向性が一致している。生活の鈴木克昌幹事長は「国民は 自公両党に相対する勢力を求めているが態勢ができてい ない。まず3党で作りたい」と述べた。3党は、民主党に も選挙協力を呼びかける」 今夏の参議院選挙では、TPP参加反対、脱原発、消費税 増税廃止(凍結)、憲法改悪阻止、辺野古基地移転阻止 が争点になる。 現在、自民党・公明党は、この争点を隠し、マスメディ アに株高と円安で偽物の好景気をあおらせ、アホノミク スの悪酔い状態で選挙に突入しようとしている。 現在、国家の危機を守り、国民の生活を守ってくれる政 党は、生活の党、社民党、みどりの風、共産党しかいな い。 本来なら、この選挙協力は共産党が口火を切り、他党に 呼びかける性格のものだ。多くの国民が共産党を護憲の 政党として認識してきた。地道な草の根の、護憲の日常 活動も知っている。 ここで「小異を残して大同につく」戦略を取らなければ、 党史に最大の汚点を残すことになるだろう。もしこのま ま同一政策の他党との選挙協力を拒否すれば、もはや共 産党の現在の執行部は、状況的に振る舞うことのできな い、国民のために闘うことのできない、ひ弱な知識人の 集団にすぎないのである。 さて、9.11以降、米国では「愛国者法」によって警察 国家と監視社会が一挙に強まった。現在の米国は、もは やアメリカンドリームを託すような国ではなくなってい る。合衆国からの離脱を公然化させる州が出てきたこと が、そして3,000万台の監視カメラに凝視された日常が、 米国の危機の深さを物語っている。 ボストンマラソンの爆破事件も、 9.11後のイラク侵攻 と同様にディザスター・キャピタリズム(惨事便乗型資 本主義)の絶好の材料に使われるであろう。なぜなら民 営化された国民監視は、米国では巨大なビジネスと化し ているからである。 日本の3.11も、米国の9.11と同じような利用のされ方 をした。すなわち消費税増税・原発推進・ TPP参加・憲 法改悪・国防軍創設。これらはすべてフリードマンの、 危機による国民のパニックを利用して、平時なら不可能 な改革を実施するものである。 平たくいえば、これは政府が火事場泥棒をやっているの であるが、多くの国でこれは簡単に成功している。 しかし間違った、姑息で邪悪な政治手法なのであり、福 島原発事故から脱原発へ舵を切ったドイツの政治の方が、 哲学を持った、国民のためのまともな政治なのである。 これからの日本は、「日本なんてどうなったっていい。 自分さえよけりゃ」というTPP参加のグローバルエリー トによって、米国の植民地になってゆく。警察国家と監 視社会とは、植民地である分、宗主国より強まることに なる。

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