2012年2月2日木曜日

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31625 大地震から命と家族を守る,正しい判断 ________________________________________________________________________ 1:その電車から降りるべきか? 家の外に出るべきか?みんなと一緒にいるべきか? 高速道路は出口まで走り続けるべきか?---大地震でいちばん怖いのは「殺到」「パニック」。地震でなく、地震後に死ぬ。知識があれば、あなたは助かる 火を消しに行かない  不気味な予兆を見せる首都圏大地震。自宅で、通勤電車で、会社で—その際、自分と家族の命を守るにはどうしたらいいのか。 「私は、阪神・淡路大震災のときには大阪市北消防署の署長でした。この地域では震度5強の揺れを観測しています。ところが地震が起きて、みんなすぐに家から飛び出してきたものの、そのままじいっと立っている人がたくさんいた。東日本大震災の聞き取り調査でも、自宅から出ても空や海を眺めていた人が多かったのです。津波から身を守るための、次の行動がなかなかできないんですね」  と語るのは大阪市で消防署長などを歴任した防災アドバイザーの森田武氏だ。これについて災害時の心理に詳しい新潟青陵大学の碓井真史教授はこう解説する。 「大きな不安や恐怖に直面すると、人間は『退行』という現象を起こします。幼児のように感情的・暴力的になり、判断力が大幅に低下して何をしたらいいかわからなくなるのです。  災害時には普段考えていないこと、やったことのない行動はまずとれない。一見『バカバカしい』と思える基本的な知識をもっていることが命を救うのです」  ではまず、多くの人が長い時間を過ごす自宅で大地震に見舞われたら、どうすべきか考えてみよう。  揺れ始めた直後、「家を飛び出す」のと、「屋内にとどまる」のはどちらがよいか。災害社会学が専門の中森広道日本大学教授は「外に出てはいけない」と力説する。 「阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などで建物自体が潰れたケースが報道され、外のほうが安全というイメージが広がったのですが、むやみに外に飛び出すほうがずっと危険。転倒や、ガラスや瓦、壁などの落下物でケガをする可能性が高い。まずは屋内で揺れをやりすごすのが正解です」  かつては、地震がきたら火を消すことが最初にとるべき行動とされていたが、これも現在では推奨されていない。 「火のそばに行って火傷をした、倒れてきた食器棚や家具類でケガをしたなどの事例が多発しています。地震発生時には、火よりもまず、身の安全を図ってください」(東京消防庁防災課)  東京ガスの場合、メーターが震度5以上の揺れを感知するとガスが自動的に止まる仕組みになっている。火を使っているとき地震に遭っても、過剰に慌てる必要はないのだ。  防災用具を取りに行こうとするのも同様に危険だ。 ___________________________________________________________________________________________________________________________________ 2:「ヘルメットなどがあればかぶったほうがいいのですが、離れた場所に保管してあるなら、その場で間に合うもので頭部をガードしてください」(前出・中森氏)  やはり身を守るのが最優先なのだが、前出の森田氏はその際に忘れがちなポイントを指摘する。 「防災関連の冊子の挿絵でも忘れられていることがあるのですが、机の下に待避する際は脚をしっかり握ること。揺れで机が移動してしまうのを防ぐのです」 人間は「逃げ遅れる」生き物  最初の揺れをやりすごした後の行動は建物の耐震性によって変わる。 「鉄筋コンクリート造りなどで柱の太い建物、木造でも耐震補強がなされている住宅などでは中にとどまってもよいのですが、倒壊の危険がある場合は、落下物に注意しながら早く屋外に退避してください。阪神・淡路大震災では住宅等の倒壊による圧死が死者の80%を超えています」(同前)  大地震の際は大きな余震もつづく。はじめは何とか耐えたとしても、繰り返す揺れで倒壊してしまう家屋も少なくない。とはいえ、自宅の耐震性がどの程度かわからないという人も多いだろう。それを知るためにもっとも確実な方法は、自治体などが勧める耐震診断を受けることだ。  もっと手っ取り早く危険性の大小を知りたければ建物が建てられた時期をチェックするとよい。都市防災の専門家でまちづくり計画研究所の渡辺実所長が語る。 「マンションやビルの場合、1981(昭和56)年5月以前に着工したものは耐震基準が緩かったため、危険です。阪神・淡路大震災の例を見ても、『座屈』(柱が折れて階が潰れる現象)を起こした兵庫警察署などはこうした旧耐震基準の建物でした」  大型マンションや勤務先のビルなどで築年数がわからない場合は玄関付近を調べるといい。竣工年月日(完成日)や工務店名を刻んだ「定礎」というプレートが埋め込まれているはずだ。  旧耐震基準の建物でも、その後、適切な耐震補強が行われていれば安心だが、その実施状況は建物の管理者に確認するしかない。  もし、地震に遭った際に、コンクリートの柱にX字の亀裂が入るようなら要注意だ。座屈を起こし、その階が潰れる可能性が高いので、すぐに避難しよう。  戸建て住宅の場合は、建設されたのが'95年の阪神・淡路大震災以前か以後かがひとつの目安になる。これ以後、多くの住宅メーカーが耐震性を競って多数の耐震金具を取り入れたからだ。特に'90年代末以降に建てられた住宅の場合は信頼性が高い傾向にある。  JRや地下鉄など、電車に乗っているときに気をつけるべきことは何だろうか。  本誌のこれまでの「特集」では、死者107名を出したJR西日本福知山線事故の教訓から、できれば前方の車両を避けることや、車両内では戸袋近くの手すりに掴まるか座席に座って、突然の衝撃でも体を固定できる場所にいるのがよいことなどを取り上げてきた。続きを読んでください.

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